月が満ちるまで ナツのハナ 17
桜土手をのぼり道に立つと川から風が流れてきた。
土手から一段低い場所にグラウンドがあり、そこに屋台の屋根が連なる。
花火が上がるのは対岸らしく、仕掛け花火の櫓が組まれていた。
花火が始まるまで時間があった。腹ごしらえをしようということで連れ立って土手をおりていく。
ちはやの耳元で聞いてみる。
「ちはや、仲直りした?」
「ケンカなんてしてないよ。宮原とはケンカになんない」
「じゃあ…安心した?」
おおげさに腕を振ると、たもとが揺れて、鳥のはばたきのようだった。
「安心なんてしない、あたし宮原に自分を預けたりしてない」
「でも、気になるんでしょ」
それが答えじゃないのか。そう思っていたけど。
前を歩く二人を見ている。
「ひとりだったら心配だったり、心細くてもハルくんがいたら大丈夫じゃない」
「あたし、別に変わらなくていい。今のままで、つるんでバカやって楽しかったらいい」
下駄がアスファルトを打つ固い音がする。
いまはその音が殴られているように痛い。
「こわいの?」
はっとしたちはやの顔は、正直で言葉を聞かなくてもわかった。
なにが
変わるのだろう。人を好きになって。
自分が変わってしまう怖さがあるみたいに。
「デレデレした自分なんて考えられない」
「嬉しくない、ハルくんといて」
くるりとちはやのバックが円をかく。竹かごの涼しげなバックだ。
「……宮原は、犬みたいだ
。見てる分には面白いよ。でも…付き合うとか分かんない」
「これってデートじゃなかったの」
驚いた。
姿を見ただけで、あんなに泣きそうになったくせに。
なんてバカなんだろう。
なんで分からないんんだろう。これが恋じゃなかったら、わたし何が恋かわからない。
いつのまにか、夕闇が深くなり屋台の発電機がともす明かりが明るく足元を照らしていた。
「ねぇねぇ、ちはやちゃんはタコ焼き派、お好み焼き派、それとも意表をついて焼きそば派かなぁ。どこから行こっか」
振り返るハル君のふにゃんとした笑顔は、まだまだ複雑なオトメゴコロを知らないようだった。
土手から一段低い場所にグラウンドがあり、そこに屋台の屋根が連なる。
花火が上がるのは対岸らしく、仕掛け花火の櫓が組まれていた。
花火が始まるまで時間があった。腹ごしらえをしようということで連れ立って土手をおりていく。
ちはやの耳元で聞いてみる。
「ちはや、仲直りした?」
「ケンカなんてしてないよ。宮原とはケンカになんない」
「じゃあ…安心した?」
おおげさに腕を振ると、たもとが揺れて、鳥のはばたきのようだった。
「安心なんてしない、あたし宮原に自分を預けたりしてない」
「でも、気になるんでしょ」
それが答えじゃないのか。そう思っていたけど。
前を歩く二人を見ている。
「ひとりだったら心配だったり、心細くてもハルくんがいたら大丈夫じゃない」
「あたし、別に変わらなくていい。今のままで、つるんでバカやって楽しかったらいい」
下駄がアスファルトを打つ固い音がする。
いまはその音が殴られているように痛い。
「こわいの?」
はっとしたちはやの顔は、正直で言葉を聞かなくてもわかった。
なにが
変わるのだろう。人を好きになって。
自分が変わってしまう怖さがあるみたいに。
「デレデレした自分なんて考えられない」
「嬉しくない、ハルくんといて」
くるりとちはやのバックが円をかく。竹かごの涼しげなバックだ。
「……宮原は、犬みたいだ
。見てる分には面白いよ。でも…付き合うとか分かんない」
「これってデートじゃなかったの」
驚いた。
姿を見ただけで、あんなに泣きそうになったくせに。
なんてバカなんだろう。
なんで分からないんんだろう。これが恋じゃなかったら、わたし何が恋かわからない。
いつのまにか、夕闇が深くなり屋台の発電機がともす明かりが明るく足元を照らしていた。
「ねぇねぇ、ちはやちゃんはタコ焼き派、お好み焼き派、それとも意表をついて焼きそば派かなぁ。どこから行こっか」
振り返るハル君のふにゃんとした笑顔は、まだまだ複雑なオトメゴコロを知らないようだった。