月が満ちるまで ナツのハナ 15 | ふんわりシフォン

月が満ちるまで ナツのハナ 15

ハルくんが来て、少し遅れて渡辺くんが到着する。

ちょっと息があがっているのを唾をのんで落ち着かせる。

「すっごい綺麗だ、ちはやちゃん」

何度も視線が上下する。いつもの人懐っこい笑顔で、ハルくんがいる。

「あたりまえだよ、もう遅刻寸前だからね。どうしてメールとか出来ないのかなぁ」

ちょっとバツの悪い顔で、ハルくんがこたえる。

「携帯にかけようと思ってた。電車がついたら、すぐ。でも…会いたかった。すぐに、話したくて。携帯じゃなくて、直接」

いつもハルくんはまっすぐに気持ちを伝える。

ちはやが困るほどまっすぐに。

「……連絡、ないと心配だから」

うんうんとハルくんがうなづく。

「ごめんね、急いだんだけど」

きつく携帯を握りしめた手を優しく包みこむ。

「この次は、きちんと連絡する。だからもう心配しないでね」

携帯のないほうの手で、ちはやが目頭を押さえる。泣きそうで、ぎりぎり我慢している。

泣いちゃったら。

我慢しないで、ちはやもみっともない自分を見せたらいいのに。

どんなちはやだって、ハルくんは嫌がらない。そんな気がする。