月が満ちるまで ナツのハナ 5 | ふんわりシフォン

月が満ちるまで ナツのハナ 5

「ああっどうしよう髪」

ばたばたとお風呂からあがった ちはやが髪を乾かしている。

「乾かしたら、まとめてあげるから。わたしもお風呂行ってくるね」

「うん、あたし不器用だからまとめらんない…風花お願い」

「落ち着いたら言っておくれ。浴衣を着付けてあげるからね」

エアコンを入れているものの、いつもの癖でうちわを使いながらおばあちゃんが言う。

冷えすぎるエアコンが苦手なのだ。

でも今日はちはやが泊まりにきてくれているし、これから浴衣を着て花火を見にいくことになっている。

目を細めて笑っているおばあちゃんもいいものだ。



湯舟につかるとだるくなりそうだったけど、リラックスしたくて身をしずめた。

熱いけれど、シャワーより落ち着く。手足をのばして天井を仰ぐ。

ゆげがゆらめいている。

見ていると、とぼおっとしてしまう。








「橘さんは気になる奴っているの」

渡辺くんの声が耳にのこる。緊張して、すこしかすれた声だった。

「特にいないよ」

見上げると、すこし口元が笑った。それから眉間にしわが寄って、ひとつ息をはいた。

「そっか。じゃあ頑張ってみようかな」

それから笑顔になった。





横断歩道の先に、ちはやとハルくんの姿があった。

微妙な距離をおいて立っていた。ちはやは何気なく、ふたりの間にカバンがくるようにしていた。



ちはやたちが待っていてくれたから、話は花火大会のことになって、それから先はわからない。

聞いてみたいようで…

こわい気がした。