月が満ちるまで ナツのハナ 3 | ふんわりシフォン

月が満ちるまで ナツのハナ 3

「どうして逃げるの」

「なんで?バカなこと言うのに付き合わないといけないの」

涙がにじんできそう。

軽くてバカにされてるみたいで。

「…信じて欲しいよ」




ボートで告白されてからも、信じきれない自分がいて、場所やまわりにかまわずに口にする言葉にひやひやしてイラッとする。



無神経と一途さの境界があるなら宮原に教えてやって欲しい。

普通の恋愛をしたい

そう思いながら、恋愛って普通の精神状態じゃないって知ってる。











相手の全てをこちらに向けさせたい


相手を自分を溺れさせる感情


制御なんて出来ないものが恋だ






イラッとするのは

あたしが宮原にそこまでの感情を持てないでいるからなのか



あまりにも感情に正直な宮原を見ると、醒めているような気がしてしまう

温度に差があるんだ





イラッとする

なんで宮原のことを、こんなに考えてる?

話し会わず、逃げながら自分を正当化しようとしてる。





「ねぇ、8月の2週目の土曜ってあいてる」

急に声が近くなった。信号待ちで並んだ宮原が、こっちを見ていた。

歩行者天国の横断待ちをしている人は、たくさんいた。

そのざわめきのなかで、宮原の声だけはハッキリ聞きとれた。

一語、一句間違いなく。




「なに、なんかあるの」

何気なく腕をあげて、肩にかかるバックの紐を触る。
何か、腕でも、バックでも間に置いておきたい。

何もなくなるのが恐かった。




まっすぐな宮原の感情を受け流す何か。




「あのさ、花火大会があるんだ。桜土手の川辺だから一緒に行かない」

見上げたら視線がぶつかった。

ちょっと目尻が下がる、不安げな顔。

捨てられた犬みたいな顔して!






あぁ…もぅ嫌だ

自分の感情をぐちゃぐちゃにされる。

こんな顔させてんのは、あたしのせい?

でも悪いのは宮原なんだから


「どうしようもなく、ヒマだったら行っていいよ」

ぱっと明るくなる顔。

「じゃ、ダブルデートしようね。ちはやちゃん」