月が満ちるまで 感謝の気持ち 3 | ふんわりシフォン

月が満ちるまで 感謝の気持ち 3

写真を見つけたちはやが、声をあげる。

「かっわいい!七五三じゃない」

着物姿のおばあちゃんと、わたし。小花を散らした着物が珍しくて、かわいくて脱ぎたくないとだだをこねた。

会う人みんな、優しい顔で見守ってくれていた。

「ちはやも写真あるでしょう」


「まあね。かわいくてビックリするよ~」

にこにこしながら他の写真も見ている。

どれも、おばあちゃんとのツーショットを選んでいた。

遠足、運動会、入学式。

アルバムには穴が空いてしまうけれど、いつも見れるように身近に置いておきたかった。

「口元がおばあちゃんかなぁ…風花の目はお母さんからかな」

「……うん、当たり。目はよく似てるらしいよ」



自分でも嫌になるほど。



写真でしか知らないお母さん。どんな声をしていたんだろう。

わたしにどんな言葉をかけてくれたんだろう。



お母さんのお腹で、どんな言葉を聞いていたのだろう。

知らない世界に生まれおちるわたしを、優しく抱き寄せてくれたのか。



お母さんが生きていてくれたなら、お父さんもわたしを憎みはしなかった。




お母さんの命と引き換えに産まれてきたから。




どちらかしか助けられない



そのぎりぎりの選択で、お母さんのだした答え。



それは



正しかったのか、わからない。




乳飲み子を抱えた男親は、自分の母親に面倒を頼む。

一緒に暮らした日々で、


お父さんの記憶はたくさんの本と後ろ姿。




お母さんにそっくりだという、わたしの顔を見ると、なきべそをかいた子供のような顔をした。



見ると、思いだすから。



お母さんをとても愛していて、忘れられない……



楽しかった記憶を……



だんだんと離れていったお父さん。




そんなお父さんを、おばあちゃんはバカ呼ばわりした。