旅立 | ふんわりシフォン

旅立

サワサワ

草原を風が渡る



ふて腐れて馬に飛び乗って来てしまった。

会わないと、後悔するんじゃないか。



次にいつ会えるかわからない姉さん。

今日、他の部族へ嫁ぐ。



同族婚はしない決まりだ。
わかっていても、寂しい。


…ものすごく、寂しい。



することもなくて、花をつむ。

ぷつぷつと摘まれた花が山をつくる。

姉さんに教えてもらったな…



一緒に放牧に行くと、花を編んで花冠を作って遊んだ。

手は覚えていて、花を編んでいく。






………帰ろう。

馬に乗って。

ゲルの前につくと、深呼吸してなかに入った。

すぐに姉さんと目があう。

「ずいぶん長い散歩ね」

姉さんは正装をしていた。あざやかな衣装。頭にはビーズの帽子。




……綺麗だった。すごく……………本当に………綺麗だ。

「……結婚おめでとう」




姉さんの膝に花冠を置く。
「……綺麗ねぇ」

目の高さまであげて見てくれた。

それから帽子を取って、花冠を乗せてくれる。




「本当はこっちのほうがいいわ。帽子は重いもの」

くすりと笑った。



でもその笑顔は、あどけないあの頃の笑顔ではなくて、綺麗な女性の笑顔だった。



「幸せになりなよ」

ぶっきらぼうになってしまう。

「あたしが幸せにならないわけないでしょう」

「………そうだね。図々しかったよね、そういうとこ」





きっと幸せになれるよ。



姉さんなら。