フライフィッシングをしていると

必ず耳にする【ハーディー︰HARDY】

イギリスで鉄砲の職人だったハーディー家が、その金属加工技術を釣具に転用したのが始まり、その歴史は古く、今までに出されたモデルも多い為、コレクターも存在します(コレクターの為のガイドブックが1万円前後で取引きされる程、モデルが多岐に渡り、さらにその年代によって細かな違いが多いので、こだわれば底無し…)


(赤い塗料を注してあります)

自分はコレクターという訳ではありませんが、何故かハーディーのリールに妙に惹かれてしまうんですよね、実釣で使うロッドに合わせて増えていく感じで、自分の初ハーディーは、中学生の頃、フライフィッシングを教わった、伯父から譲り受けた最初のリール、それがマーキス#6でした



今思えば恵まれていたというか…当時はそんなに価値も知らずに、初心者故に扱いが雑でガンガン使い倒し、ボディは傷だらけ…1番のダメージは、落としてフレームが曲がってしまい、それを直そうとしたら、パキっと割れてしまったこと…メンテナンスを怠っていた事もよろしくない…反省…



(接着剤で補強)

そんな傷にも愛着があったりして、眺めてカリカリしながら呑んだり…そんなマーキスですが、素性や由来を知っておくことで、道具として理解が深まるというか…(釣りに直接関係無し、モチベーション影響部分)以下、個人的考察と所感を…

○HARDY Marquis (ハーディー マーキス)
・製造初年:1969年/1972年改良
・初期型はラッチカバーがHARDYのロゴ
・中価格帯モデル(発売当時)
・機種最多(各番手対応)
・アウタースプール / ナロータイプ
番手例
・#6       3_1/4 (外径8.3 × 幅1.8)
・#8/9   3_5/8 (外径9.2 × 幅1.8)



▽構造




ボディ部のドラグノブで、※タンを抑えるバネのテンションを調節し、ギヤがタンを弾く強さを変化させて、ドラグシステムとしているようですが、殆ど変わりません、専ら、音色調整用でしょうか(笑)
(※タン : 三角形の金属部品)

これがいわゆるクリック音の元です、特徴的な音なので、好き嫌いが分かれたりします。それ故、サイレントタイプもあるようです(個人的にはクリック音あってこそと思ってます)

・シンプル構造=長持ち
自身のマーキスはおよそ25年くらい経っており、例によって外側はボロボロですが、砂を落としてたまにグリスを塗り直す程度のメンテナンスで、未だにシャフトとスプールは密着、巻き心地はスムーズ


(右の#8/9は新入り)

▽細軸シャフト & ナロー
・メリット
ラインが放出される程、ドラグが効く
→ 自転車のギヤ=大径(軽) / 小径(重)
・デメリット
巻グセが強い→モノフィラとの相性は最悪
・シャフト長
当然ですが、シャフトに垂直方向の力(ラインの引張力)が加わった時、根本部分よりも、先端部分に向かうにつれて曲がり(歪み)易くなります(シャフトが長い程、ラインキャパは増えますが、曲がり易くなりますよね)当時の技術力と素材強度、コストの問題等々で最適な長さだったのではと
・細軸シャフト
ナローの為、その分のラインキャパを稼ぐには細くするしかありません、しかし、シャフトの強度とは表裏一体、モデルとしては手に取りやすい中価格帯…生産の効率を上げる必要もあるし…



おそらく…
当時の金属加工技術と素材の強度、コストパフォーマンスと生産効率を考えた際に、バランスがとれていた構造として生み出されたのが【Marquis】のモデルなのではと思ってます(高級嗜好はパーフェクトやブグレー)

番手が上がっても外径を増やしてラインキャパを確保するのみ、幅は1.8cmと変わらないというコトからも想像できます



モデルとしての位置付けも、ノーマルグレード、肩肘張らない庶民派仕様とでも言いましょうか、それでいて品質は良くて、多少雑でも道具として長く使えるところ(自身で証明済)が高評価となるリール(昨今のアジア製はわかりません)



余談として
発売からかなり売れたようで、OEM品をたまに見かけます、自身が確認したのは、3M、SAGE、ペゾンェミシェル、LLBeanでした、SAGEのモデルは印象的な深みのあるブラウンでシブい…欲しい