窓を開ければ冷たい山からの風が頬に当たる
刈り取った後の香ばしい麦わらの匂い
暗闇に咲いたカサブランカの甘い匂い
届けられた二つの匂い
白い星のようなヤマボウシの花が爽やかに留まっている
ミカン畑から蛙が雨を知らせるように鳴きだした
あなたどうしていますか
何処へ行ったのだろう
心のきれいな人だった
川のせせらぎのように清らかで
沈む夕陽のように温かく
海の側に住む
子どもの好きな人だった
優しい眼差しで全てのものを見る
そんなあなたが好きでした
珍しく今夜は斜め向かいの二階の窓に灯りがともってる
丸い二つの影が仲良さそうに窓にもたれて座っていた