つづき。。。



朝になり二日酔いのフラフラの体で

登山をする。

ガイドさんに連れられ車で登山口まで行く。

10時間コースも半日コースもあったが

やはり初心者というのは言い訳だが

そんなコースはとても無理だ。



足をしっかり着けて恐る恐るガイドさんの

後を歩く。

うわー!日本にこんなところがあったんだ。

宮崎駿のもののけ姫の舞台になった所の

苔のついた岩……。

おー!!

これなのか。。。

屋久島に2年弱住んでいながら

こんなところがあったなんて。。。

足腰弱った私は滑らずに着いていくのが

やっとだった。

三女が写真担当でたくさん写真を

撮っていた。

最後に世界遺産でもある

『屋久杉』を見た。

囲われていてさわれなかったが

パワースポットのここに来ただけで

何か良いことが起こるといいなと思った。

30年ほど前に中学校の遠足で行った時は

さわれたのに。

帰り道車に戻るとき

野生の猿(屋久猿)と鹿が降りてきて

みんな喜んで写真を撮っていた。

それでも私の気は晴れなかった。

「うっぜーなーっ!!」

の言葉とふてくされた態度が

頭から離れない。



帰りの屋久島空港で搭乗待ちで

11月の寒い中(屋久島は暖かいと思われてい

るが冬は雹が降るほどだ)

私はひとり外で煙草を吸っていた。

顔を見ると怒りがおさまらないだろうから。

ずっと機嫌悪い顔をしていたと思う。

長女が気を使ったのかさりげなく

一緒に煙草を吸いにきて

「お母さん、どうしたの?何があったの?」

「……何があったってさ、長女も見てたで

しょ!?スーパーで……あれはないわ!

何で私があんなこと言われなきゃいけない

の!?ほんっと腹つ立つわ!」

と解散するまで我慢しようと思っていた

思いを一気に吐き出してしまった。

長女が中に戻るとすぐに

大股歩きで形相を変えて二女が来た。

「あのさー、私にムカついたんだったら私に

だけそういう態度すればいいじゃん?

みんな関係ないんだから!!」

と逆ギレされてつい私も口が出る。

「てゆーか、お前さ、誰にうっぜー

なーっ!!なんて言ってんだ!?は

あー!?何でお前にそんな口きかれなきゃ

いけないんだよ!たいがいにしろよ!」

「私は誰にでもうぜーって言うよ!何?

自分が一番偉くないと気がすまないの?」

「それはお前だろっ!何様なんだ!?

私はお前の姉妹でも友達でもねえんだよ!

親なんだ!親に向かってよくあんな口きけた

もんだな!」

空港の喫煙所で女二人が大喧嘩している。

結局一言も「自分が悪かった」という

言葉もなく正当化し私を小さい人間だと

言う二女は自分がルールで考え方が違う人間

はとことん洗脳する。

こんな風に育てた私が悪いと言う。



20何年育て成人しても金銭面にも何か事件で

困った時はいつも岐阜から名古屋へ駆けつけ



出来る限りの事をしてきた結果がこれか。。



セントレアに着いて荷物が流れてきて

手に取ったら一言もなく帰って行った。

三女も一緒に……

屋久島の写真がないのは

写真担当の三女がその日以来

一切連絡をしてこなかったからだ。

当然二女も。

もういいや!

と思っていたら

長女がお守りをくれた。

その頃難病にかかっている私に

鹿児島空港で買ったのだと…………

ありがとう。。。

たったひとりの私の身内であり

たったひとりの私の娘……

私は長女だけは一生かけて命をかけても

守っていくよ。

そう誓った。

いや、そう誓ったはずだった。。。






つづく。。。