第弐話#4です
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#4
サトルっ!!
サトル、しっかりしろ、なぁ!!
今、助けがくるから!!
ユ、ユウジ・・・
悪りぃ・・・俺、もうだめだ・・・
サトル!?
おい・・・サトル!!
サトルっ!!
「・・・部・・・」
「・・・綾部」
「綾部!!」
「ん・・・」
自分を呼ぶ大声で、綾部は目を覚ました。
「ここは・・・」
見渡すと懐かしい3-Cの教室。
その真ん中に置かれる赤いソファで、いつのまにか眠りについていたようだ。
「寝るためにここに来たのかよ」
あくびをしながら見上げた先には、少しやつれた姿の又吉直樹がいた。
「はい」
そう言って差し出された手には、コーヒー牛乳が握られていた。
それを受け取ると、
「さっき飲んだ」と言う俺に
「何本飲んだって飽きないんだろ、お前は」と返す又吉。
そして、乱雑に置かれているイスの中の一つに座った。
「少し、やつれたんじゃないのか?」
「最近、寝てないんだ」
明らかに顔色も悪い又吉。
Mの事があったからだろうと綾部は思う。
「悪りぃな、一応俺が頭張ってんのに」
「そんなの、とっくに俺に譲ってくれたのかと思ってた」
そう笑いかける又吉は、いつもの優しい顔だった。
又吉は昔から優しい奴だった。
たとえ、世の中が180度変わったとしても、
又吉だけは変わりやしないだろうと確信をもてるぐらいに。
それは今も変わらない。
サトルが死んだ今でも・・・
「今、サトルのこと考えてただろ」
はっとする綾部に、「やっぱりな」と言いながら鞄から本を取り出す又吉。
「"人間失格"か。ほんといつも持ち歩いてるんだな」
「お前もいつもサトルでいっぱいだよな」
又吉は少し怒ったような、そして呆れも混じった口調で言う。
「・・・お前、もしかして」
「好きじゃねぇよ」
「んだよ、冗談じゃねぇか」と笑いとばすと
「お前が言うと、冗談に聞こえねぇよ」と又吉は吐き捨てた。
「・・・毎日毎日、夢見るんだ。あの日の夢」
そい言う綾部の顔は急に寂しげになり、空になったコーヒー牛乳のパックを握り潰した。
「笑っちゃうよな」
綾部の言葉に又吉は静かに耳を傾ける。
「サトルは俺のこと、恨んでんのかな」
「そんなことねぇよ」
今にも枯れてしまいそうな声で嘆く綾部に、又吉がピシャリと言い放つ。
「そんなことねぇって・・・」
その声もまた枯れてしまいそうな弱いものだった。
綾部が3-Cの教室を出た頃、
渋谷のネオン街に2つの陰があった。
「ふーん、荒高とレッドパーカー全滅ねぇ・・・」
それぞれのチームと、
陰で動く小さな野望。
それぞれの思いの裏側で、
物語は幕を切っていた。
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