60代くらいの女性に質問を受けました。
「デリケートゾーンがかゆくて、この薬を買って使ってるんだけど、これってかゆみを止めるだけの薬よね?
もっと根本から治す薬ってない?
塗ってる間は多少ましになるけど、かゆみがずっと治らないのよ。」
お客様が手に持っていたのはフェミニーナ軟膏Sです。
CMなどでもお馴染みの小林製薬のフェミニーナ軟膏Sですが、
こちらの含有成分は、以下の通りです。
リドカイン…(局所麻酔作用)知覚神経を麻痺させかゆみを緩和します。
塩酸ジフェンヒドラミン…(抗ヒスタミン作用 )かゆみの発生を抑えます。
イソプロピルメチルフェノール…(殺菌作用)雑菌の発生を抑えます。
トコフェロール酢酸エステル…(ビタミンE )血行を促進して肌の新陳代謝を高めます。
確かに、炎症を抑える成分は入っていないので、根本的にかゆみを治す薬というわけではありません。
ただ、かゆみ・かぶれというのは、『かゆい→かく→皮膚が壊される→炎症を起こす→さらにかゆくなる』という悪循環をおこすので、一時的にかゆみを抑えるだけの効果であっても、かゆくてかき壊すことが抑えられるので、症状は改善するはずです。
しかし、デリケートゾーンのかゆみってなかなか治らないものですよね(;^_^
フェミニーナ軟膏Sの添付文書には、「5~6日間使用しても症状が良くならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師に相談すること。」と書かれていますが、5~6日で完治することは難しいのではないでしょうか。
特に女性の場合、生理用品やおりものでかぶれることは多いかと思います。
デリケートゾーンのかゆみ・かぶれを治すには、薬を塗ることに加えて、
・下着を通気性のよいもの(コットン製など)に変える
・生理用ナプキンはこまめに替える(または布ナプキンを使用する)
・おりものシートを利用する(もちろんこまめに替える)
などの工夫が必要です。
また、フェミニーナ軟膏には抗炎症成分は入っていませんが、
メンソレータムフレディメディカルクリームnには、抗炎症成分のグリチルリチン酸二カリウムが入っています。
非ステロイド性の弱い抗炎症成分なので、フェミニーナ軟膏と効果はあまり差はないかもしれませんが
そして、デリケートゾーンのかぶれには、病院では弱いステロイド軟膏も処方されることがあります。
しかし、それは菌やウイルスの検査で陰性であることを確認し、感染症ではなくただのかぶれ(接触性皮膚炎)であることを医師が確定した後に、初めて処方されるものです。
市販でもステロイド軟膏はもちろん入手可能ですが、自己判断でステロイド剤を使用することはオススメできません。
もし、カンジダなどの感染症である場合、ステロイド剤を使用すると悪化してしまいます。
ちなみに、デリケートゾーンのかゆみの原因となるような感染症には、以下のようなものがあります。
■カンジダ性膣炎
強いかゆみをともない、膣部から酒粕状の白いボロボロしたおりものが特徴的。性交渉がなくても、抵抗力が落ちている時などに発症することがある。
■膣トリコモナス症
悪臭を放つおりものが出る。排尿時や性行為時に痛みや不快感を感じる。陰部のかゆみがある。
■性器クラミジア感染症
女性は無症状であることも多い。
■淋菌感染症
女性は無症状であることも多い。
■性器ヘルペス
水泡やかゆみを発症する。一度かかると、疲れている時に再発する。
■いんきんたむし
強いかゆみを伴う。皮膚がただれたり色素沈着が起こる。
■毛ジラミ症
慢性感染者はかゆみはないが、感染した患者は数週間で激しいかゆみに悩まされる。
...たくさんありますね
必ずしも、性交渉で感染する感染症ばかりではないので、
ご年配の方でもこれらの疾患にかかっている可能性はあります。
とにかく、市販薬でデリケートゾーンのかゆみに対応できるのは、フェミニーナ軟膏やその類似薬しかないこと(カンジダ性膣炎治療薬は第一類医薬品でありますが、再発の場合のみしか使えないので)、
かゆみが続く場合は何かの感染症の可能性があるので、一度婦人科を受診することが望ましいことを
お客様に説明しました。
するとお客様は、
「婦人科で内診するのは絶対イヤなの!しょうがないからまたコレ買っていくわ。」
と言って、
フェミニーナ軟膏を購入して帰っていきました(・_・;)
60歳を超えても、婦人科の内診に抵抗がある方はいらっしゃるのですね...
本当は婦人科を受診することが、完治への一番の近道ですが、お客様が行かないという選択をされるのなら、こちらからは何も言うことはありません( ̄_ ̄ ;
本日は以上です!
よかったら参考にしてください