あけましておめでとうございます
今年もスローペースになってしまいますが、なるべく更新していきますので、お付き合いお願いいたします。
さて、最近はすっかり寒くなり、風邪を引かれている方も多いのではないのでしょうか。
今回は、葛根湯に関するお話です。
「今生理中で鎮痛剤飲んでるんですけど、ちょっと風邪気味みたいで。
タイミングさえ間違っていなければ、葛根湯も一緒に飲んでも大丈夫ですよね?」
30代くらいの女性のお客様に質問されました。
タイミングさえ間違っていなければ、とは?
一瞬よくわからなかったのですが、
どうやら葛根湯は食前で、鎮痛剤は食後なので、用法さえ守っていれば一緒に飲んでも大丈夫ですよね、という意味らしいです。
この質問については、意見が分かれるところですが、
私の意見としては、答えはNOです。
基本的に、葛根湯と解熱剤を併用することは望ましくありません。
葛根湯は、血行をよくして熱を上昇させ、外部から侵入した菌・ウイルスを殺すのに適した体温にしてくれます。菌・ウイルスを撃退した後、発汗作用により、上がった体温を下げてくれるので、結果的に風邪を早く治してくれます。
一方、鎮痛剤は解熱鎮痛剤とも言われているように、体温を下げる作用があります。
葛根湯は一度体温を上げてから解熱作用を表すのに対し、解熱鎮痛剤はまた違った作用機序で熱を下げます。
よって併用してしまうと、葛根湯の十分な効果が得られない可能性があるので、あまり意味がなくなってしまいます。
ただし
最近では、解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェンが配合された総合感冒薬と葛根湯をひとつにした風邪薬なんていうものが販売されています。
左からコフト顆粒、プレコールエース顆粒です。
(メーカーHPから画像お借りしました。)
コフト顆粒は、最近CMもよくやってるので、知名度も高いのではないのでしょうか。
上述の理論によると、このような配合の風邪薬は全くのナンセンスですが、どうなんでしょう?
少なくとも飲み合わせ的には、安全性に問題がないということなんでしょう。
(ただし、これらの薬はアセトアミノフェンも葛根湯も成人通常量の半分程度の量しか配合されていないので、成人通常量でそのまま併用した場合とはリスクが当然異なります。)
鼻水止めや咳止めは、通常量が配合されているので、風邪の症状に全く効果がないというわけではないと思いますが...個人的にはあまりオススメできません
ちょっと調べてみましたが、このような解熱鎮痛剤+葛根湯という風邪薬の効果については、まだはっきりとしたデータもないみたいですね
また、風邪で病院にかかった時に、葛根湯と、カロナール(成分名:アセトアミノフェン)やPL顆粒(同じくアセトアミノフェンを含有する合剤)、ロキソニン(成分名:ロキソプロフェン)が一緒に処方されるなんてことも、けっこうあることだと思います。
市販薬でもロキソニンやイブ(成分名:イブプロフェン)といった鎮痛剤が販売されていますが、葛根湯と併用することは問題ないと、メーカーさんも言っていました。
ただし、葛根湯の効果が十分に出ないかもしれないとのことです。
同じ目的※で服用するなら併用せずに、どちらか一方で様子を見たほうがよいとのことです。
※風邪っぽくて頭痛がある場合は同じ目的なので、どちらか一方で様子を見る。
歯痛や生理痛がある時に、風邪のひき始め症状が出た時は違う目的なので併用する、など。
お客様に、
上記のような、葛根湯と鎮痛剤の併用は問題ないが、葛根湯の効果が十分にないかもしれないことを説明しました。
そして、通常の風邪薬にも生理痛に使用されるような鎮痛剤が入っているので、そちらの薬をオススメしました。
お客様は、
「そーだったんですか~!
知らなかったです、何も考えずに一緒に服用するところでした!聞いておいてよかったです。
じゃあ、普通の風邪薬を試してみます。」
といって、風邪薬を買っていかれました。
漢方薬と西洋薬の併用って、よく質問されると思うんですが、なんでもOKに見せかけてけっこう難しいですよね
また後日、別の漢方薬の併用についてもまとめれたらなぁと思います!
本日は以上です!