「ヘルペスの飲み薬と塗り薬ってありますか?」
30代くらいの女性のお客様に質問されました。
ヘルペスとは、ヘルペスウイルスによる感染症で、水ぶくれが集まったような状態のことです。
人間に感染するヘルペスウイルスは全部で8種類あり、代表的なものは、
単純ヘルペスウイルスⅠ型による単純疱疹(口唇ヘルペス等)、角膜ヘルペス
単純ヘルペスウイルスⅡ型による単純疱疹(性器ヘルペス等)
水痘・帯状疱疹ウイルスによる水疱瘡、帯状疱疹
などがあります。
さて、冒頭のお客様の質問ですが、
ドラッグストアでは、第一類医薬品として、口唇ヘルペスの再発の治療薬(塗り薬)であれば入手可能です。
『再発』ということなので、もちろん初めて罹患した方には販売することはできません。
我々薬剤師は、本当に口唇ヘルペスかどうか診断することができないからです。
初回は必ず皮膚科へ行ってください。
そして、ヘルペスの飲み薬(抗ヘルペスウイルス薬)は、
ドラッグストアでは取り扱いがありません。
医師の処方箋が必要です。
お客様に、再発かどうかを尋ねたところ、
「これまでに何回もかかっています。
よく体にできちゃうんです。
いつも皮膚科に行って飲み薬と塗り薬をもらってるんですけど、今日は時間がないので。」
とのこと。
おっと![]()
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再発という条件はクリアしたけど、
口唇ヘルペスではないので、ドラッグストアでは対処できる薬がありません![]()
何回も繰り返しているヘルペスとのことなので、単純ヘルペスなのでしょう。
(水疱瘡や帯状疱疹も体にできるヘルペスですが、基本的には一生に一度程度しかかかりません。)
お客様に、申し訳ないけれど薬局では口唇ヘルペスの塗り薬しか取り扱いがないので、
皮膚科にかかってくださいと告げたところ、
「口唇ヘルペスの塗り薬って、体には使えないんですか?
口唇ヘルペス用の薬と、体のヘルペス用の薬って、成分は違うんですか?」
と、聞かれてしまいました。
正直に答えますと、
口唇ヘルペスと単純ヘルペス、使用する塗り薬は同じです![]()
いずれも単純ヘルペスウイルスによる単純疱疹にカテゴライズされ、単純疱疹の塗り薬は基本的に共通です。
処方薬で、単純疱疹に効能のある塗り薬は、全部で2成分(アシクロビルとビダラビン)です。
口唇ヘルペスや性器ヘルペス、単純ヘルペスなど、いずれもこれらの塗り薬が使用されます。
※ただし、角膜ヘルペスには、専用の眼軟膏(アシクロビル)を使用します。
市販薬で口唇ヘルペス用の塗り薬は、2017年1月現在5種類(2成分)が販売されていますが、これらは処方薬と同じ2成分(アシクロビルとビダラビン)となので、理論上、体にできた単純ヘルペスにも使用しても問題ありません。
ただし![]()
市販の口唇ヘルペス用の塗り薬には、
使用上の注意として
『口唇や口唇周辺以外の部位には使用しないでください。』
って明記されているんですよね~![]()
我々薬剤師は、薬の適正使用を促す立場でありますので、
「口唇ヘルペスの薬でも体の単純ヘルペスにも使っちゃって大丈夫ですよ~
」
なんてことは、立場上言えません![]()
お客様には、
・口唇ヘルペスと体の単純ヘルペスには同じ塗り薬が使用されるが、市販薬は飽くまで口唇ヘルペス用なので、単純ヘルペスに使用する用には販売できないこと。
・いつも病院で飲み薬も一緒にもらって治療しているのなら、ドラッグストアでは飲み薬の取り扱いはないので、やはり病院にかかったほうがよいこと。
を、説明しました。
お客様は明らかに納得していない様子でしたが、
しぶしぶ帰って行かれました![]()
第一類販売医薬品や要指導医薬品の対面販売は、どこまで厳しくするかいつも悩みどころです![]()
今回は体にできた単純ヘルペスだったのでさすがに断りましたが、
以前、鼻の下にできたヘルペスの治療薬をお求めに来たお客様がいて、判断に困りました![]()
唇ではないから『口唇ヘルペス』とは言えないけど、鼻の下なら『口唇周辺の部位』と言えなくもないかな?と思い、その時は売ってしまいました![]()
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さて、それでは最後に市販薬の口唇ヘルペス治療薬を紹介します。
前述のように、2017年1月現在、市販の口唇ヘルペス治療薬は5種類(2成分)が販売されています。
まずは、有効成分がアシクロビル(50㎎/1g)の薬です。
左から順に、アクチビア軟膏(グラクソスミスクライン)、ヘルペシアクリーム(大正製薬)、ラクリシアクリーム(大木製薬)です。
これらの薬の用法は、1日3~5回です。
そして、有効成分がビダラビン(30㎎/1g)の薬です。
アラセナS軟膏、アラセナSクリーム(いずれも佐藤製薬)です。
これらの薬の用法は、1日1~4回です。
ビダラビンとアシクロビルの外用薬について、効果の優劣についてははっきりとしたデータはありません。
どちらを選んでも、効果は同じくらいです。
※ちなみに、処方薬ではアシクロビル外用薬の適応が単純疱疹のみであるのに対し、ビダラビンは単純疱疹に加えて帯状疱疹にも適応があります。
クリームにするか軟膏にするかは、お好みで選んでください。
軟膏のほうが定着がよく、患部を保護する作用が強いので、じゅくじゅくしている場合などは
軟膏のほうが適していますが、ベタつきが気になる方は、クリームのほうがさらっとしているのでいいかもしれません。
(なお、画像はすべてメーカーHPからお借りしました。)
本日は以上です(*^▽^*)





