「世界中で蓄電所が増殖中、既にカリフォルニアでは主力電源に」という表題の記事が日経クロステックに掲載されたのが今年の8月だ。主にリチウムイオン2次電池を用いた大規模な蓄電システム(蓄電所)の大量導入が世界で猛烈な勢いで進んでいる。再生可能エネルギー関連の動きのうち、いわゆるグリーン水素や洋上風力は導入に急ブレーキがかかっているが、蓄電所の大量導入はむしろ加速している。
蓄電所の導入量で世界をリードするのは米国だ。2024年には、導入した蓄電所の定格出力の合計が同国の揚水発電システムの出力20GW(原発20基分)を大きく超え、同年末には約30GWに達した。再生可能エネルギーの発電システムと同じ場所に設置する併設型(ハイブリッド型)や家庭用蓄電池などを含むと2040年には定格出力で約180GW、定格のエネルギー容量では約550GWhに達する見通しだ。5年でほぼゼロからここまでになったというからその勢いは凄まじい。その結果、今年の9月8日にはカリフォルニアで下図のような状態になり、19時頃には蓄電池からの放電出力は最大10.25GWで全供給量の3割を占めた。
日本でも最近はこうした状況が見られるようになったが、ここまで蓄電池からの放電は大きくはない。だが日本でも蓄電所の完成、建設の開始は毎月のように報じられている。しかもその規模も大きなものが増えている。実施主体は商社などが多く、必ずしも電力会社が主体ではない。次に示すのは、日経新聞が報じた大阪ガスの蓄電所の記事だ。
大阪ガスは2030年度までに出力100万キロワット分の蓄電所の運用を目指すと発表した。全国で数十カ所程度の蓄電所運用を想定する。送電線に直接接続したり、太陽光発電所に併設する蓄電所の運用を拡大する。大阪ガスは同時に同社の国内初となる蓄電所を大阪府吹田市で稼働したと発表した。出力は1万1000キロワット。他に北海道や佐賀県でも運転開始を予定している。
果たして日本もカリフォルニアのようになるのか。アメリカでは経済原則通り安い電力が優先されるので蓄電所から放電する電力のコストが活かされるが日本の場合どうなのか。ただ、旧式の火力発電所を夕方の数時間だけ動かすのは経済的に合わないので蓄電所とは競争にならないと思われる。カリフォルニアの場合、今後さらに再生可能エネルギーが増えて、それに応じて蓄電所が増えると、次第に黄色と緑色の部分が増えて、その分、天然ガス火力や他の系統からの融通が減っていくと考えられる。やはり、再生可能エネルギーが増え蓄電所から供給する電力のコストが下がれば他の電源は駆逐されるのが自然であろう。