空白の1日 | ぐーたら武装神姫日記

ぐーたら武装神姫日記

当ブログは無駄な雑学の宝庫さにゃぺでぃあさんが武装神姫の事や自転車乗ったりプラモ作ったりといろんな事を書き綴る場所です。



TeamS.S.R、メイドさん学科自転車部 所属。

しえる「こんにちわ。まずは武装神姫9周年おめでとうございます。」

「私がマスターと出会って約5年。今では家族も増え、前は一人で寂しかったのが嘘のようです。」

「これから書かれる物語は私がマスターと出会ってまだ半年の時のお話です、よろしければ読んでくださいね♪」













???「……スター」

???「マ……」

???「マスター!!」


しえる「マスター、起きてください!」

マスター「なんだようるさいなぁ……後60分寝かせろよ」

しえる「何言ってるんですか、学校ですよマスター!」


20××年。
神姫。全長約15センチのフィギュア型ロボットの事だ。
その神姫が人間の輔佐をし、生活の手伝いをする世界。



外を歩けば神姫を連れた人が大勢。
神姫が普及した今では「職業神姫」なるものもいるらしい。


そしてつい最近、我が家にも神姫が来た。

frontline社製〈天使型アーンヴァル〉


元々買う予定はなかったのだが、友人と神姫ショップ、いわば携帯ショップの神姫版だ。
に連れで行った時、友人にほぼ無理矢理買わさせられた。


それでも家に帰る頃には神姫を起動させることが楽しみだった。



マスター「……えーと何々。このちっこいのがCSCーコア  セット  チップー神姫のパラメーターを決める為の大事な物です?」



数分後

マスター「よし、これでオッケーだろ。さぁ、起動!」

アーンヴァル「Front Line製、MMS-Automaton 神姫
天使型アーンヴァル、FL012
セットアップ完了、起動します」

マスター「本当に動いた……」

アーンヴァル「オーナーのことは、何とお呼びすればよろしいでしょうか?」

マスター「うーん、基本的なのは?」

アーンヴァル「「マスター」、「旦那様」、オーナーの中には「お兄ちゃん」と呼んでもらってる方もいるようです」

マスター「お兄ちゃんとかキモ……無難にマスターでいいよ」

アーンヴァル「登録しました。マスター、次に私に名前を着けてください」

マスター「名前!?えー?名前つけるとか聞いてないぞ……」

アーンヴァル「……」

マスター「保留って出来るか?」

アーンヴァル「出来ません」

マスター「天使型アーンヴァル……天使……エンジェル……うーむ。……あ!「しえる」でどうだ?」

アーンヴァル「「しえる」……登録します」



しえる「登録完了しました。これからよろしくお願いします、マスター!」

マスター「おう」


これで俺は神姫マスターの仲間入りをした。






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マスター「うーん、しえるが来てから二度寝してない気がする」

しえる「当たり前ですっ!それが正しい生活ですから。早く朝ごはん食べて下さい、せっかく作ったのに冷めてしまいます」

マスター「んー。(飯作ってくれたりは案外助かるな。後はうるさくなければなぁ…)」

しえる「ん?マスターどうしました?私の顔に何かついてます?」

マスター「いーや、行ってくるわ」

しえる「はい、いってらっしゃい!」



それから数ヵ月後。ある事件が起こった

マスター「しえる、どういうことだ」

しえる「ま、マスター……」


帰ってくると部屋がめちゃくちゃに荒らされていた


マスター「しえる!お前ふざけんな!」

しえる「す、すみません…」 
 

俺が怒ったのは部屋が荒れてるよりも机の上にあった


マスター「あれだけ机の上は弄るなって言っただろ!」


机の上には今亡き友人の形見があったからだ。
その形見が……壊れていた


しえる「……本当にごめんなさい。でも!」

マスター「謝って済む問題と済まない問題もあるんだよ!ロボットの癖にそれもわからないのか!もうお前いいよ」

しえる「……え?」

マスター「説明書に「神姫にはリセット機能がある」って確かあったからな」

しえる「マスター?も、もしかして……冗談ですよね……?もうマスターったら冗談キツいですよ?だ、誰も笑わないですよ……」

マスター「お前、俺が冗談言ってるような顔に見えるのか?なら本格的に壊れたか」

しえる「お前だなんて、マスターが着けてくれた名前で……」

マスター「うるさい。黙って消えろ」

しえる「…や」

マスター「あ?」

しえる「嫌です!わ、私……マスターの事もこの家に来た時の事も一緒に過ごしたこと忘れない、絶対に忘れませんから!!」

マスター「……」カチッ



しえる『絶対忘れない……絶対……』

しえる『……』











???「あーあ。やっちゃったよ」

???「無実なのにねぇ」

???「よっく言うよ、擦り付けようって計画立てたのお前じゃん?」

???「マスターと仲良しこよしなんてやってる神姫はみんなああなればいい。見てて興奮する」







しえるをリセットしてから数日後

アーンヴァル「マスター、朝食の準備が出来ました」

マスター「そうか。なら掃除でもしてこい」

アーンヴァル「わかりました」



マスター「……」

ニュース『昨晩、他人の家に侵入し荒らしてその家の神姫に罪を着せて金品を盗っていた窃盗犯が捕まりました』

マスター「へぇ……中にはアホなやつもいるもんだな」

ニュース『取り調べによると「その家で最も大事そうな物を壊して神姫に罪を着せ、その神姫をマスターがリセットするのを見て楽しみたかった」と容疑を認めているそうです。』

マスター「え…?もしかしてあの時のって……」



しえる『……ごめんなさい……でも!』



マスター「あの時、何か言おうとしかけて……アーンヴァル、ちょっと来い」

アーンヴァル「なんでしょう?マスター」


マスター「……(よく見るとあちこち傷だらけだ……本当にあの犯人がうちを襲ったならアイツはこの家を守ろうとして?)」




マスター「俺は最低だ」

アーンヴァル「マスター?どうしましたか?」

マスター「出かけるぞ」

アーンヴァル「はい」




神姫ショップにて

マスター「すみません。あの……」

店員「あぁ……たまにいるんですがうちでは何も出来ません」

マスター「だったら……」



frontline社

マスター「すみません、どうしてもダメでしょうか!」

従業員「それがですね。神姫にとってリセットとは我々人で言う「死ぬ」ことなんですよ。記憶喪失とは訳が違う」

マスター「じゃあ、コイツは……」

従業員「残念ですが、一度リセットしてしまったその子は………」

マスター「そうですか。すみませんでした」 









マスター「……(俺は取り返しのつかないことを……本当にごめん……)」

アーンヴァル「マスター?なぜ泣いてるんですか?」

マスター「お前には関係無いことだ」

アーンヴァル「でも、今日はマスターの誕生日ですよ。泣かない方がいいのでは?」

マスター「……」


まさか俺が涙を流すとは

数ヵ月一緒に過ごしただけなのに

気づかなかった。俺の中の奥底でアイツの事がこんなに大きなものになってるとは

だからリセットした後から心が空っぽになった様な感じがしたのか



マスター「前に言われたことあったっけ大切なものほど失わないとわからないって」

アーンヴァル「マスター?」

マスター「帰るか」





ピンポーン!
マスター「何か注文したっけ?」

宅配業者「お届け物でーす。」




マスター「小包?」

小包を開けてみると中には手紙とUSBが入っていた

マスター「……動画?」

USBをパソコンに繋いでみるといくつかのファイルと一緒に1つの動画が入っていた

マスター「……」カチカチッ


動画を再生するとそこに写ったのは

しえる『よいっしょ、よいっしょっと!これでいいのかな』

『ってわぁ!録画始まってる!?』

動画の撮影時間をみると俺がリセットした1日前に撮っていたらしい。

しえる『マスター。私がこの家に来て初めてのマスターの誕生日ですね』

『まだマスターが何を欲しいのかわからないので動画を撮ってみました』

『口に出すのが恥ずかしいのでここで言います。マスター、大好きです!』

『これからもずーと一緒にいてくださいね♪お誕生日、おめでとうございます!』

『…………これでいいかな。停止ボタンは……あった……』プツッ




マスター「……本当に俺は……」

アーンヴァル「マスター、なんですか?このファイル。バックアップデータのようですが」

マスター「バックアップ?」

アーンヴァル「えぇ、神姫はパソコン等に繋がって充電、更新などをします。その時にウィルスなどでなにかあった時に備えてバックアップを取るんです」

マスター「そうなのか。でもなんでUSBに」

アーンヴァル「パソコンが壊れてしまった時に備えて別にUSBを指してバックアップデータを移していたのでは?」

マスター「賭けてみるか……。アーンヴァル、このバックアップデータをお前に復元しろ」

アーンヴァル「わかりました。復元に三時間ほどかかりますがよろしいでしょうか?」

マスター「やれ」






  

三時間後



マスター「そろそろか」

……もしかしたらまた会えるかもしれない

……帰ってこい……帰ってこい

……頼む、うまくいってくれ


アーンヴァル「…………」

マスター「おい、起きろ」

アーンヴァル「ん……。マスター……?」

マスター「お前の名前は?」

アーンヴァル「お前だなんて……ちゃんとマスターが着けてくれた名前で呼んでくださいよ」

マスター「……っ!」

しえる「「しえる」って名前で♪」

マスター「しえる!」

しえる「はい♪ってわぁ!マスターどうしたんですか!?いきなり抱きついて来るなんて…///」

マスター「悪かった。しえる、本当に悪かった」

しえる「え?何かしましたっけ?」

マスター「もう2度とお前を……これからも一緒にいてくれるか?」

しえる「……当たり前ですっ♪」




こうしてしえるは戻ってきた

次の日一応frontline社に行き、精密検査を受けた

向こうの人に話したら

「ありえない、奇跡だ!」

frontline社の人いわく神姫がバックアップを取ることはあってもそのバックアップに気づいて復元するマスターがいないらしい

うちの場合はたまたましえるがお馬鹿だったのと俺の誕生日が重なったのが幸いしたみたいだった







神姫は確かに機械だ。
だけどそれ以上に神姫は女の子なのだ
同じように感情を持ち、記憶を、日々の生活を大切にしている


これからは機械ではなく一人の女の子として大事にしていきたいと思う


神姫にハマる人の気持ちが少しわかった気がするよ


しえる「マスター!」

しえる「これからも……よろしくです♪」

マスター「あぁ」





 

おしまい