結局、1日中仕事に集中出来ず、いつもの3倍くらいの時間でやっと仕事が終わった。周りを見渡すともう誰もいなかった。

会社を出ようとすると、よく知っている人物が出入口に立っていた。
「翔平!?こんな時間に何してるんだよ!」
「瀬戸のこと待ってた。このあとちょっと話せないか?」
時計を見ると、残業したことでいつも帰る時間よりはだいぶ遅い時間になっていたが、終電まではまだ時間があった。
「…わかった。どこで話す?さすがにここじゃまずいだろ」
「俺の家に来ないか?ここから近いんだ。それに……2人きりで話したいんだ…」
「……わかった」
そうして、俺と翔平は会社を出た。

翔平は家に着くなり、俺の方を向いて思い切り頭を下げた。
「瀬戸、ごめん」