「失礼します。瀬戸さんいますか?」
この人は荒井レイラ。企画部で1つ下の後輩。入社当初「後輩に美人が入った!」と噂になっていた。仕事も完璧にこなすらしい。社内で「女神様」と呼ばれていた。
「いるけど、用件は?」
「こっちに来て貰えませんか?」
「ああ、わかった」
周りの視線が痛かったのとなんとなく嫌な予感がしたのとで、追い返したかったが、それこそなに言われるかわからないから、しぶしぶ荒井の方に向かった。
「ちょっとこっち来てください…」
そう言って俺は誰もいない会議室に連れてこられた。

「すみません、瀬戸さん。仕事の話じゃないから人前で話しにくくて……」
「別にいいよ、そこは。で、話って何?」
「瀬戸さん。このままでいいんですか?」
「……え?何が?」
「このままだと今週末には柳下さんと三浦さん、恋人同士になっちゃいますよ?」
「ごめん。話が読めないんだけど?」
「瀬戸さん…柳下さんのこと、好きなんじゃないですか?」