安倍晋三首相は29日、首相就任後初めての地方視察先として福島県を訪れ、東京電力福島第一原発を視察した。首相は視察後、記者団に「我々は責任ある立場として、(原発をなくしたいという)希望の段階で、ただちに政策にしていくということではない」と述べ、民主党政権が掲げた「2030年代の原発稼働ゼロ」という政策を見直す考えを改めて示した。
【写真】菊池製作所川内工場で、材料のアルミ塊を前に作業工程などの説明を受ける安倍晋三首相(中央)=29日午後、福島県川内村、代表撮影
首相は「原発の安全神話の中で原子力政策を推進してきた反省に立って、復興に取り組んでいきたい」と語り、「責任あるエネルギー政策を進めていく」と強調。「復興行政が縦割り化している」とも指摘し、根本匠復興相に態勢見直しを急がせる考えを示した。
原発を視察した際、首相は構内の免震重要棟で「これだけ大規模な廃炉作業は、人類史上初めての挑戦だ。みなさんの挑戦が成功して初めて、福島の復興、日本の復興につながる」と作業員らを激励した。
また、警戒区域が今春解除され、村民の帰還を進めている川内村も訪問。国の立地補助金で誘致した金属加工場を視察し、「働く場があって初めて帰ろうということになる。我々も(支援を)スピードアップしていきたい」と語った。