喧争~悲しき力~32「その明日は吉か凶か」① | 言葉を極めたい 文矢達林のブログ

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そして、壱川を加えた八重葎率いる元蟷螂のメンバーは、百日紅達のいる東行田に向かっていた。

それを、偵察隊から話を耳に入れた百日紅は
「来たか」
「では、防衛隊はそのままで」
「第1陣は、迎撃。第2陣は準備完了のまま様子見だ」
「わかりました」
と百日紅の指示を無線で発信した部下。
「八重葎め、早速動くとはな」
「八重葎と楯山と早く雌雄を決するとは」
「好都合だと考えればいいさ」
「好都合ですね」
「御場、お前は私を裏切らないのか?」
「愚問ですね、私は那賀みたいにはなりませんよ、逆に唾棄するくらい、那賀の心理に腹が立ちました」
「御場、ありがとう」
「私はもう、貴方しかいないんです。自分が忠誠を尽くせる人は」
「勝たなければな」
「勝ちましょう」

ついに、東行田を舞台にした最後の闘いは幕を開けた。

八重葎率いる元蟷螂は、百日紅率いる第1陣とぶつかっていた。

「なんとしても、百日紅の元まで行くぞ」と発破を掛けたのは、三日津だった。
「三日津、自分は」と三日津に聞く壱川。
「壱川さんは、本陣をお願いします」
「わかった、三日津しくんなよ」
「了解」
「てああ、八重葎の部下があ」
「黙れ、百日紅の操り部隊があ」
「くそ、なかなか固い防衛ラインなことで」と三日津がぼやきながら、百日紅の計略に納得する。
「やるしかないか、苦しい局面だが」
と第1陣の守りの固さに苦戦していた頃、那賀は

「私達も動くわよ」
「はい」

一方、優矢達も
「行くか」
「優矢さん、我々は勝てるのでしょうか」
「勝つさ、これを乗り越えなければ、明日を見ることは出来ないんだからな」
「アニキ、どうする?」
「久査、作戦通りにだ。大丈夫だ、稔森の仇は討たせる」
「わかったぜ」
「優矢」
「累月は、那賀の動きを見て欲しい」
「りょーかい、じゃ、行ってくる」
「気を付けてな」
と累月を見送った後、優矢は一人言をつぶやくかのように言葉を口にした。
「楯山、八重葎。自分達は同じ道を歩むどころか、違う道を歩んでる。だが、それはもう終わるんだ。終わらせてやる、自分自身の過去とお前達との因縁とともに」

第1陣の守備の固さを突破する為に、八重葎はあるカードを切った。

「仕方ない、区中」
「は」
「お前には、百日紅の第1陣の守備をバラバラにしてもらう」
「あれ❔ですか」
「ああ、あれだ」
「では」
「頼むぞ」
「お任せを、八重葎閣下」
区中の率いる隊が第1陣と三日津の隊の元に向かうのを見た楯山は、
「百日紅は、強い。だが、負けるわけにはいかないか、それは俺もだよ。荘」
「我々も動くか」
「動こう、百日紅を止めて、全ての悲しみを断ち切るっ」
八重葎率いる元蟷螂は、総動員で百日紅の第1陣を攻略を宣言した中、那賀率いる勢力も密かに百日紅と八重葎達を潰す罠を仕掛けていた。

この最後の闘いから明日を掴むのは、まだわからないまま、闘いは加速し、勢いを止めないまま続く。

32②に続く