君のいない迷路 259 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

二人でランチを食べていると

母の携帯が鳴った

画面を見た母のは口をへの字にして

小さく頭を振った

 

「どうしたの?」

 

声を掛けると

黙って電源を切った

 

「誰だったの?」

 

「夢見るお姫様よ ・・・

 私の行き先を誰かから聞いたんでしょう

 まだ連絡先教えてないのよ」

 

その言葉で相手が誰かが分かった

 

「俺に会いたいって事?」

 

「来週、貴方が帰省する事は

 父に伝えたのよ 

 だから、それまでは実家にいるはず

 聞きたいのは具体的な日程じゃないかしら」

 

こっちで会うよりは

向こうの方が確実で

祖父の家なら冷たくあしらわれないと

考えての事だろうな ・・・

 

「やっぱり帰らないとダメ?」

 

「この時期でなければ

 いいわよって言うんだけど ・・・」

 

お盆の集まりを欠席したのだから

帰省しない訳には行かない

本家の務めか ・・・

 

「金曜に帰って

 池田の家に泊まるよ

 土曜の朝、祖父の家に行き

 その足で東京に戻る

 それなら会わなくて済むだろ?」

 

池田の旅行と日程が被った場合は

内田の家に泊めてもらおうかな ・・・

 

「それなら土曜の午後に帰ると予定だと

 伝えるわ ・・・

 今は会わない方が良いわね」

 

畳み掛けられても困る

 

「アメリカの友人は

 いつ迄いらっしゃるの?

 東京だけの観光じゃないでしょ?」

 

「京都にも行きたいし

 俺たちの地元にも行くとか言ってたけど

 日程は決めてないみたい

 来週末もいるかも」

 

「ねえ、その方 ・・・

 かなりのセレブ?

 あのホテルのグレードの高い部屋を

 連泊するって

 相当でしょ?

 私でも3泊の予定なのよ」

 

「母さんの部屋 ・・・

 俺が泊まると言ったら泊まれる部屋?」

 

「ええ、泊まれるわね」

 

この人もサラッと怖い事を言う

 

「その部屋と同等か

 多分 ・・・ それ以上だと思うよ

 かなりのセレブで

 俺の予想では貴族だと思う」

 

「貴族?」

 

母が目を真ん丸くして

驚いた顔をした

 

「イギリスの貴族じゃないかな

 あのファミリーネームは ・・・

 本人には聞いていないけど

 親は爵位を持ってるはず」

 

アメリカではトニーの家の方が

名門一族として名を馳せてる

 

「凄い方とお友達になったのね」

 

「凄いのは智の方かな

 もう一人いるんだけど

 その人もかなりのセレブだと思う

 二人とも何も言わないけどね」

 

ノアはそれとなく俺に伝えたけど

 

「智ちゃんなら分かる気がする(笑)

 自然体で接する子だから

 相手が構えないのよ

 貴方もそうだったでしょ?」

 

二人には敵わないけれど

家名の重みを知ってるから

近づいてくる相手は警戒する

その警戒を解かせるだけの

何かを持ってる

 

顔を見てるだけでホッとする

安心感と包容力がある

 

「普段着のままで会える人

 見栄も何も張らなくていい

 素の俺を認めてくれるから ・・・」

 

「話を聞いてたら

 智ちゃんに会いたくなったじゃない

 今年中に帰国するの?」

 

「その予定でいるみたいだけど

 会社勤めだから分からないよね」

 

「確かにそうね

 私も会いに行こうかしら ・・・」

 

母なポツリと呟いた

この人 ・・・ 行きそうだわ ・・・

 

「行くのは良いけど

 突然は止めてよ

 智が驚いちゃうから」

 

釘だけは刺しておかないと

行動力だけはトップクラスだから

 

「その時は貴方から連絡してもらうわよ

 少し何も考えずに

 羽を伸ばしに行きたいわ」

 

母のもっぱらの厄介ごとは

間違いなく俺だ 

 

「苦労を掛けます」

 

「良いのよ、わが子の事ですから(笑)」

 

柔らかい笑みを浮かべて

「大丈夫よ」っと呟いた

 

お昼を食べた後

マンションによりお土産を持って

ホテルに向かった母

 

俺は山のようになった洗濯物を眺めながら

 

「手伝ってくれなかった ・・・」

 

愚痴をこぼしながら

洗濯機を回した

 

 

 

 

 

 

<続きます>