君のいない迷路 238 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

台風が去ったあとみたいに

二人が帰ったリビングは静かだった

誰が最初に話し出すか

探り合ってるような微妙な空気

 

「片付けが終わったんなら

 夕飯にしない?」

 

4人でノアの事を話しても

全ては憶測になる

その憶測から生まれる疑心暗鬼で

帰りの空気が微妙になる可能性もある

(既に池田君は警戒してる)

全くこの件からの部外者である僕が

この話から離れることが出来る

 

「内田は終わったの?」

 

彼に聞かれて

内田が「終わった」

そう言ってにやりと笑った

 

「池田君、今日もカクテルを作ってね」

 

「作るよ

 そうだ簡単に作れるカクテルレシピ

 用意したから

 木田先輩に渡して」

 

カクテルセットを揃えたのは先輩

それを無駄にしないための配慮だな

 

「今日は飲み明かそう!」

 

飲み気満々の彼が

僕の顔を見て笑みを浮かべた

 

飲みたい気持ちもわかるけど

二日酔いで飛行機は拙いだろ

 

「帰る日の前日って

 物寂しい気持ちになるから

 飲みたい気持ちもわかるが

 ほどほどにしないと

 痛い目を見るぞ

 新幹線みたいにすぐに着かない

 今日は比較的優しいカクテルにするよ」

 

池田君が僕の代わりに釘を刺してくれて

『これで良いだろ?』って目配せしてくれた

 

僕が酔いつぶれるのは明日だな

先輩に付き合って貰おう

 

「それに、ツリー先輩に会うのに

 二日酔いは拙いだろ

 今晩はゆっくり飲みながら

 語り明かそう!」

 

珍しく内田が良い事を言った

僕も同感だな

 

「それも良いな 

 語り明かそう!」

 

多分、彼はかなり飲むだろうから

いざとなったら止めないと

 

夕食の席に着いて

ビールで乾杯した後

冷蔵庫の中に有るものを使った

どちらかと言うと和風?な料理で宴を始める

 

「今日の夕食

 かなり豪勢だよな」

 

内田がテーブルの料理を眺めながら

嬉しそうに呟いた

 

「昨日、食材を買い過ぎたんだよ

 だから、なるだけ使おうと思って

 簡単な物ばかりだから

 美味しいかは保証しないよ」

 

何々料理ではなく

すべて自己流料理

味の保証はない

 

「智の作るものは

 全て美味しいヵら

 心配いらない!」

 

「そうだな

 大野の料理は大体美味しい」

 

「池田、大体じゃなくて

 全部な!」

 

「う~ん ・・・ 俺も池田の意見に賛成

 偶にとんでもないの作るよな?」

 

二人の言い合いに割って入る内田

 

とんでもない物?

そんなの披露したことあったっけ?

 

「とんでもない物って何?」

 

彼が質問したので

隣に大きく頷いてしまう

何かやらかしたか?

 

「今回は並んでないけど

 偶に激辛料理を作るだろ

 あれは食えないぞ

 俺は一口で、コップ一杯の水を飲んだ」

 

「ああ、思い出した ・・・

 あれ、不味かった?」

 

「辛いだけで味なんか分かんなかったよ」

 

その料理を思い出したのか

まるで今食べたように

顔を顰めて何度も頭を振った

 

「そんな辛かったの?

 俺食べてみたい」

 

怖いもの見たさの池田君と

辛い物苦手な彼の表情は対照的で

思わず吹き出してしまった

 

「食べてみたい?

 いつか作るよ」

 

「やめとけ!」

 

内田が池田の肩に手を置き

何度も「無理だって」と呟いた

 

辛くても美味しいのに ・・・

 

サンフランシスコの最後の夜は

くだらない話で過ぎていく

それが楽しいんだけど ・・・

 

あまり飲まないようにと言ったけど

4人揃えばお酒もすすむ

 

最初に酔いつぶれたのは池田

そこまで飲んでないけど

疲れてたんだろうな ・・・

 

「帰りたくないな~!」

 

「彼女が待ってるだろ?」

 

「そうだけど ・・・

 智、いっしょに帰るぞ~」

 

ちょっとだけ涙目になってて

僕まで寂しくなってきた

 

「そうだな ・・・

 ほら、もう寝ろ!」

 

半分目が閉じてるんだから

リビングに連れてったら

直ぐに寝てしまった

 

次に睡魔に襲われたのは彼 

 

「海外勤務にならないかな~

 俺もかえりたくな~い ・・・

 智 ・・・ そう思うだろ ・・・」

 

「うん、僕は日本に帰りたいよ ・・・」

 

「へ? ・・・

 それじゃ、海外勤務むだじゃん~」

 

「あのな、海外勤務で

 ヨーロッパとかになったらどうするんだ?」

 

池田君、この状態で正論をぶつけても無意味

だって聴こえてない(笑)

 

「は~ ・・・ それはないの! ・・・」

 

「櫻井、ソファーに行こう

 もう寝た方が良い

 明日の朝、早起きしてよ」

 

耳元で言うと

素直に聞いてくれた

 

起きなくてもいいよ

憶えてないと思うから

 

池田君と二人で彼を連れて行く

最後に残ったのは僕と池田君

初日もそうだったのを思い出した

 

「片付けるか!」

 

「食洗器に入れるだけだよ(笑)」

 

殆ど使ったことがなかった食洗器

今回は大活躍

 

「それでも手伝うよ ・・・

 少し話したいから」

 

トニーと話した事かな ・・・

かなり心配してくれてる

 

もしかしたら

ノアが僕を誘ったこと

トニーから聞いたのかも?

 

 

 

 

 

 

<続きます>