君のいない迷路 217 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

帰国の便の話をしてる時

時折、寂しそうな表情を浮かべながらも

平静を保つことに

力を使っているように見えた

避けては通れない話題だが

別の話題に切り替えたいと考えても

全く話題が浮かんでこなかった

そんな中、内田の突拍子のない質問が

淀んだ空気を一掃してくれた

 

そこ聞く?って思ったけど

君の衝撃的な答えに

俺と内田は目をまん丸くして

大きな声をあげた

池田も驚いてはいたが

その可能性もあると踏んでいたのか

動じてる様子はなかった

 

「婚約者に会ったことは有るの?」

 

興味津々顔で尋ねる内田

それは無いと思うな ・・・

 

「会った事は無いんだ」

 

「誰に聞いたの?」

 

「ノアが教えてくれた

 トニーの婚約者は幼馴染で

 今はNYに居て弁護士さんだったかな?

 ノアの婚約者はイギリスに留学中」

 

俺は婚約者がいるトニーに嫉妬してたの?

「焼きもちを妬く相手じゃない」と

暗に君が言ってたのは

この事実があったからだと

ようやく得心した

 

「じゃあ、あれは癖なの?」

 

「癖?」

 

内田の質問の意味が分からず

君が不思議そうな顔で聞き返した

 

「スキンシップの多さとか

 てっきり智が好きなのかと思ってた

 だから、ものすご~く警戒してたのに」

 

そこまでばらしちゃう?

俺が聞いたら問題になるけど

内田なら大丈夫か ・・・

 

君は苦笑いを浮かべて

 

「内田は先輩と思考が似てる(笑)

 いっつも気を付けろって言ってた」

 

「先輩は知らないの?」

 

「知ってると思うよ

 お互いの婚約者の話をしたみたいだから」

 

「なのに心配してた?」

 

今度は意味が分からないって顔で

何度も首を傾げる

そこに最初のカクテルを運んできた池田

 

「アメリカに居るので

 こちらの地名にちなんだカクテルを

 これはドライ・マンハッタンでございます

 婚約者がいるからって

 安全パイとは言わないだろ」

 

仰々しくカクテルの説明をした後

『どんな事にも例外はある』

とでも言いたいのか

俺達の安心を吹き飛ばしてくれた

 

「そうかな ・・・

 それなら婚約を解消するでしょ

 智もそう思うだろ?」

 

「う~ん ・・・ よく分かんないけど

 そうであって欲しいかな」

 

それが普通の考え方だよな

俺だって意に沿わない結婚は嫌だと思ってる

(二人とは比べ物にはならないけど)

 

「自由恋愛が出来る環境ならね

 あの二人相当な名家だよ

 どちらも歴史のある」

 

その口ぶりから

一般人には分からない世界だよって

暗に匂わせてる ・・・

 

「そうだとしても

 別に気にする必要はないと思うな ・・・

 友人の一人で居られれば

 それに ・・・内田が心配するようなことは

 無いと思うよ(笑)」

 

君がそう信じてるなら

それで良いのかな

でも ・・・ 俺も内田と同じで

トニーが好意を持ってるに一票

 

「まあ、そうだな

 俺らには家柄とか関係ないもんな

 二人は友人、それでいいや」

 

難しい事を考えるのをやめたのか

にやりと笑って

カクテルを口にした

 

「櫻井にはブルックリンをどうぞ」

 

見るからに辛口のカクテルだ ・・・

 

「どれもウイスキーベース?」

 

「よく分かったね

 大野のはケンタッキーだよ

 パイナップルジュース好きだって言ってただろ?」

 

「うん、好きだよ

 ウィスキーとパイナップルジュースだけのカクテル?」

 

「うん、その二つだけ」

 

「それなら、作り方教えて?」

 

「良いけど」

 

瞳をキラキラさせて立ち上がり

池田の後をついて言った

 

恐るべし池田

もしかしたら彼奴が一番強敵かも

 

「池田ってモテそうだよな」

 

二人を眺めながら

内田がぼそっと呟いた

 

 

 

 

 

<続きます>