君のいない迷路 208 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

トニーが今日は仕事だって言ってたけど

違うのかな?

テラス席の二人の様子を窺うと

どうやら二人だけじゃない

向かい側に座る二人が見えた

 

「あれ、トニーたち二人じゃないね」

 

それに気が付いた彼が

僕の顔を見て「知ってる人?」って

言葉に出さずに表情で聞いた

全く知らない人なので

 

「連れがいるみたいだね

 誰だろう?」

 

首を傾げると

彼も納得した表情を浮かべた

 

「俺らを待ってるのかと思ったけど

 そうじゃなかったみたいだな」

 

池田君が考えたことを

一瞬、僕も思ったけど

違っていたようだ

 

「そりゃそうだろ

 池田はスタジオ見学するって言っただけで

 時間も何も言ってないんだろ?」

 

今日の内田は一味違い

冷静に分析する

 

「時間も何も伝えてない」

 

「よほど暇人でなければ

 ずっとテラスで待ってないだろ

 トニーは今日仕事だって言ってたぞ」

 

内田も聞いたのなら

僕の思い違いではない

 

「じゃあ、仕事に関する人かもな」

 

池田君も納得する

確かに僕らを待ってる理由がない

 

「その可能性は高いね」

 

多分、そうだろうな

トニーではなく

ノアの仕事かもしれない

 

トニーは複数の仕事に参加してて

かなりの多忙

日本に行きたいと言ってても

長期休暇を勝ち取るには

ハードなスケジュールを熟さないと

不可能に近い

 

「じゃあ、声を掛けるのはやめよう

 差支えがなければ

 彼らから声を掛けてくるはずだから」

 

彼の意見に3人が頷いて

お店の中に入った

 

テラス席は人気らしく

空いてなくて

屋内の席に案内された

 

子の席ならトニーたちには

気づかれないだろう

 

「ここなら気にする必要もないな」

 

池田君がにやりと笑って席に座った

 

誰かを気にしながら

食事をするのは疲れるから

僕もその意見に賛成

お互い気付かないければ

気まずくなることもない

 

「そうだな

 お互い見えなければ

 気まずくはならない」

 

「確かに見えてたら

 声かけるべきか悩むもんな」

 

彼も内田も同じ思いだったらしく

全員がホッとした表情を浮かべた

 

「内田、何がお勧めなの?」

 

彼が聞くと

 

「キャラクターのイメージに合わせた

 ランチコースがあるよ

 値段もリーズナブル!」

 

「それ4つ」

 

近くで仕事してるのに

全く知らなかった

そのお陰で旅行に来てる気分になれた

ここは内田に感謝しないと

 

「内田、ありがとう

 僕も旅行者になった気分」

 

「それは良かった

 出しゃばってるかなって

 ちょっと心配だった」

 

「それぞれ得意分野が有るんだから

 一人ずつがスペシャリストになり得るの

 今回は内田がそれだ」

 

彼の言葉には説得力がある

じゃあ、僕は何のスペシャリストかな?

 

「そんな大層な話じゃないよ

 土産リスト見てみる?」

 

苦笑いを浮かべながら

テーブルの真ん中に紙を置いて

「見て」って顔をする

 

そこにはこのスタジオで生まれた

有名キャラクターのグッズが羅列されていた

 

「これって調べたの?」

 

「親戚からも頼まれてて

 一覧にしたのは姉ちゃん

 全部ここで売ってるらしい

 だから俺は手際よく買う為に

 観光エリアを調べた

 だから智より詳しい」

 

『大変だったんだ』って

ぼそっと呟いて

肩を揉む仕草をした

 

頼まれたら断れないもんな

 

「こんなに買って

 持って帰れるか?」

 

かなり大きな段ボールがいる

 

「日本に着いたら

 空港から実家に送るから

 何とかなるよ」

 

「それにしてもこの調査力

 姉さん何者?」

 

池田君がじらっと並んだ品名を見て

感心したような声をあげた

 

「ほんとだ

 持ち帰れない物は何一つないな」

 

ああ、そう言うことか

リスト内のお菓子は

全て持ち込めるものだ

 

「それさ、行く前に

 櫻井が教えてくれただろ

 だから、それを伝えたら

 ちゃんと調べたみたい」

 

「つまり、櫻井のお陰だな」

 

「うん、櫻井には感謝してるよ

 智、頼みがあるんだけど」

 

いきなり僕の方を向いて

両手を組んでお願いのポーズ

 

「なに?」

 

そんな重要な願い事?

ちょっと構えてしまう

 

「お土産、一人じゃ持ちきれないから

 手伝って!」

 

「ふふ それくらいなら

 手伝えるよ」

 

大袈裟に頼むから何のことかと思ったら

それくらいなら

いつでもOK

 

「助かった!」

 

話が盛り上がってるところに

料理が運ばれてくる

 

昨日のレストランと違い

カジュアルなレストラン

(ファミリー層向け)

ランチも肩肘張らずに食べられる

 

 

ランチを頂きながら

お土産物の話に花が咲く

 

それを聞きながら

どんどん寂しくなってくる僕

 

あと二日したら ・・・

3人は日本に帰っていく ・・・

そんな事を考えてたら

先輩からラインが入った

 

『大野、明後日の午前中に

 家に帰るから

 5人でランチを食べよう!

 彼らを空港にも送っていくよ』

 

その優しさに泣きそうになった ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>