取り敢えず打ち破ろうか 248 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

前の席に座った千年前の方々は

皇子が姿を見せるまで

席から動く様子はない

後列の俺たちは貴方の儀式の事もあり

傍の部屋に移動し休憩することになった

 

部屋の中からも回廊が見える作りになっているが

灯りが漏れてしまう為

しっかりと遮光のカーテンが引かれている

 

「体を温める飲み物を用意しています

 お好きな物をお持ちしますので

 遠慮なく申し付けてください」

 

即位の儀に立ち合っている人たちは

平安時代の衣装に身を包んでいて

まるでここが千年前の様な感覚に陥っていた

 

洋服姿の小瀧君を見て

思いっきり現代に引き戻された

ちょっとだけホッとする

 

「何がお勧め?」

 

「生姜湯、ほうじ茶、ごぼう茶

 ルイボスティー、ココアもありますよ」

 

「生姜湯を貰うよ」

 

確か甘みがあったはず

はちみつだったかな ・・・

 

「俺も同じもので」

 

翔兄も同じものを頼んだ

 

「智慈様は既に画伯と同化してたんだね」

 

二人の姿が重なって見えた時に確信した

多分、画伯は全ての記憶を持ってる

真翔さんは知らなかったんだろうな ・・・

 

「ああ、そのようだな ・・・

 不思議なことに俺には真翔様の記憶が

 殆どない ・・・

 ここに来てぼんやり思い出したけれど

 それでも他人事のように思えて

 彼が俺の前世だと言われても

 未だにピンとこない」

 

全てを憶えている画伯と

全く憶えていない翔兄

 

それが申し訳ないと思っているのか

吐き出した溜息が

少しばかりの罪悪感に染まっていた

 

「前世に捉われることなく

 今の画伯に惹かれて恋に落ちた

 それが正解なんじゃないの?」

 

俺達だってそうだ

貴方が誰であるかなんて

全く知らなかった

 

そもそも俺たちは

パンツ一枚から始まったんだから ・・・

 

「そうか?」

 

明らかに少しだけ表情が明るくなった気がする

 

「そうだよ

 俺達だって出会ったころ

 何も知らなかったんだから

 多分、画伯だって

 前世の記憶があったとしても

 翔兄が真翔さんだとは

 気が付いていなかったはずだよ」

 

もし気が付いていたなら

画伯は翔兄から逃げなかったはずだ

(そう思いたい)

 

「サクも偶には良いこと言うな」

 

「『偶には』は余分

 いつもとは言わないけど

 かなり言ってると思うな」

 

「あはは ・・・ そうだな ・・・

 翔様、真翔さん、二人とも

 嬉しそうだったな ・・・」

 

皇子が蒼穹殿に入った直後

涙を浮かべた翔様が振り返り

嬉しそうに笑った

真翔さんも同じような表情で

翔兄の顔を見た

 

 

「翔兄、見惚れたでしょ?」

 

黙ったまま笑みを浮かべて頷く翔兄

 

言葉にすると陳皮になってしまうからなんだろうな

あの美しさは表現できない

 

「皇子は凛々しかったな

 その場にいるだけで

 周りを照らす存在

 高貴な人ってこれだけ凄いんだと思った

 きっと先導してた二人も

 同じように思ったはずだ」

 

画伯一筋の翔兄が

皇子を褒めるのは

やっぱり彼が真翔様だからだな

 

「二人の悲願でもあったんだから

 思いも一入だったはず

 皇子は輝く太陽なんだよ」

 

そして、それは貴方もそうなんだと思う

 

貴方の即位の儀

翔様以上になく自信がある

 

 

 

 

 

 

<続きます>

 

 

 

 

 

 

<続きます>