君のいない迷路 140 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

必要なものはすべて揃えたので

明日来るとなっても大丈夫

日にちが近付くにつれ

胸が躍り自然と顔が緩んだ状態

先輩に「顔がにやけてる」と揶揄われる始末

でも、僕以上ににやけてるのは先輩で

ホテルに泊まるから旅行準備に余念がない

 

「もしかしたら同じ便かも?」

 

「何時に着くんですか?」

 

「12時ちょっと前」

 

「じゃあ、一本前のかも

 彼奴らは夕方に着くんですよ」

 

「じゃあ迎えは一緒に行けないな」

 

「そうですね」

 

お邪魔はしたくないので

僕一人で行くつもりだった

二人で話をしてるところに

上機嫌のトニーがやってきた

 

これから彼に

ガツンと言わなければならない

 

気を引き締めて

作り笑顔で彼を待った

 

「智、手加減してやれよ」

耳元で呟く先輩

 

「それは無理」

 

日本人ははっきりとNOが言えない

って言われるけど

ちゃんと伝えないと

この先も同じことが起きそうだ

 

「滅多に怒らないお前を

 怒らせたトニーが悪いな」

 

苦笑いでトニーを一瞥して

その場を離れてくれた

 

「ハ~イ 智

 日本の友人が来るの

 今週の金曜日だろ?」

 

僕の所属は日本の会社の為

夏季休暇は日本と同じで取ることになってる

こっちのofficeは決まった日はなく

スケジュール調整して2週間くらいの休暇

家庭のある人たちは

子どもたちの夏休みに合わせることが多い

独身の人はスケジュールを調整し

好きな時に取ることになってる

今回、トニーは僕たちの休みに合わせて休暇を取った

(それも勝手に)

 

「うん、そうだよ」

 

どうやって切り出してくるか

様子を見ないと

 

「俺達も同じ日に休暇を取ったから

 空港に迎えに行くなら

 車を出すよ」

 

「湖のコテージはどうしたの ・・・

 バカンスに行くって言ってただろ?」

 

何も聞いていないのだから

バカンスに行く体で話してる

 

「実は湖のコテージは予約が取れなくて

 どうしたものかと考えてて

 そう言えば智の友人が来るって聞いてたから

 それなら観光案内の手伝いをしようと

 思い立ったわけ」

 

半分本当で、半分創作かな ・・・

 

言い訳をちゃんと考えて来てるから

トニーは余裕のある顔で笑みを浮かべる

 

じゃあ、反撃させて貰おうかな

 

「僕を誘った時は

 予約が取れてるって言わなかった?」

 

「それは取るつもりでいたって事で ・・・」

 

バツが悪そうな顔で

もごもご言い始めた

 

「行きたかったんでしょ?

 ノアも行くって言ってたし ・・・

 どうして急に止めたの?」

 

「やっぱり人が多い方が楽しだろ?

 だから ・・・ 

 みんなの予定があるときにしようって

 ノアとも相談して止めた」

 

目がきょどってるんだよな

絶対に嘘だと思う

ノアに来てもらおうか?

 

「ねえ、本当にノアと相談したの?

 トニーが勝手に決めたんじゃないよね」

 

訝しげな眼差しを向けると

焦った顔で手をひらひらさせた

 

「そこは神に誓ってノアと相談した」

 

「そこは?」

 

「本当は ・・・ 予約してた ・・・

 智たちを入れて ・・・」

 

「僕たちを入れて勝手に?」

 

「うん ・・・ ごめん 

 夏休みは日本に帰らないって

 聞いてたから ・・・

 すごく綺麗な場所だから

 連れて行きたくて

 人気の場所だから予約してから誘った」

 

先に予約だけ入れて

解約するって奴だ  ・・・

(解約期間中なら出来るから間違ってはいないけど)

 

「それはやっぱり

 OK貰ってから予約しようよ

 友人が遊びに来るかもって話は

 だいぶ前から話してたよ」

 

『行きたい』とか

言ったことはない

 

「うん ・・・ それは聞いてた ・・・

 でも、決まってないって言ってたから ・・・」

 

その時は確定してなかったけど

トニーたちと行くつもりは無かった

(一人で美術館巡りをしようと思ってたし)

 

「悪気がないのは分かるけど

 でも、僕の予定で

 トニーたちの予定が変更になるのって

 おかしいよね ・・・

 何も知らないのに

 罪悪感を持ってしまうんだよ

 もし逆だったらどうなの?」

 

皆と楽しいバカンスを過ごしたい

その気持ちはわかるけど

勝手にメンバーに入れるのも

予定を組むのも間違ってる

 

トニーは暫く考えて

「勝手に決めるなって怒るかも ・・・」

そう言って

申し訳なさそうな顔をした

 

「僕の今の状態だよ」

 

「うん ・・・ 怒っるの当然だよな

 本当に申し訳ない ・・・

 ノアにも叱られたんだ 

 勝手に暴走するなって

 智の友人の観光案内も

 智が嫌だって言ったら

 無理強いするなって

 釘を刺された ・・・」

 

僕よりもノアの方が

しっかり叱ってくれてたようだ 

 

「観光案内については

 僕だけでは決めれない

 3人で考えて来てるだろうから」

 

「うん、そうだな」

 

ちゃんと謝ってくれたから ・・・

迎えに行くとき

車を出してもらおうかな

3人とも会いたがってたし荷物も多いから

 

「迎えに行く日だけど

 車を出してくれる?

 かなり大荷物だから」

 

「うん、俺をこき使っていいから

 大きめの車で行くよ」

 

「ノアも一緒に来て

 二人を紹介するから」

 

「OK ノアに連絡するよ

 智、許してくれてありがとう」

 

さっきまで肩をがっくり落としてたけど

表情が明るくなって

いつものトニーに戻ったようだ

 

「これからは気を付けてね」

 

「ああ、同じ間違いはしないよ!

 お昼には迎えに行くから」

 

「うん、ありがとう」

 

 

3人とも大荷物で来そうだから

丁度良かった

出来ればその日だけで良いんだけど

 

 

 

 

 

<続きます>