君のいない迷路 133 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

会社の前は目立つから

行先を決めずに

取り敢えず、その場を離れた

 

『何でも相談に乗るよ』

なんて、安請け合いしなきゃよかったな ・・・

今更後悔しても遅いな ・・・

 

店はこの辺りで探す

(俺のマンション近くは避けないと)

お洒落な店もNGだな

勘違いされても困る

 

「何が食べたい?」

 

再度聞いてみると

 

「お兄様お勧めのお店が良いです]

 

言われてしまった ・・・

これって試されてる?

それは無いか ・・・

 

俺が行く店は大概は居酒屋だし 

 

「そうだな ・・・

 この辺りで探そうか ・・・」

 

「はい」

 

満面の笑みを浮かべて

嬉しそうに頷く

 

「どうして東京の大学にしたの?」

 

おじさん、よく認めな 

娘は一人なのに ・・・

 

「お兄様が東京に就職すると聞いたので」

 

恥ずかしそうに俯いた・・・

マジで言ってる?

 

それって ・・・面食らって

戸惑ってると

 

くすくす笑いながら

 

「冗談ですよ

 一度は都会に出てみたい

 そう思ったので ・・・」

 

否定したけど ・・・

う~ん ・・・ 

俺が居るから安心って事だと思う

きっとおじさんも

それで東京行きを許したのかも

 

「気持ちわかるな ・・・

 俺もそうだった

 まあ、放蕩息子だったから

 すぐに呼び戻されたけど」

 

半年だったな ・・・

春に東京に来て

秋には実家に戻ってた

ほぼ、大学に行ってないんだから

そりゃ呼び戻されるよな 

 

「それって、本当の話だったんですか?」

 

驚いた顔で俺の顔を見上げる

 

「恥ずかしいけど事実

 東京に飲み込まれたんだろうな

 好奇心を満たすものが多かったし

 それこそ遊ぶところも沢山ある

 色々出かけた?」

 

「大学の友人が

 休みの日に連れ出してくれます

 でも ・・・ まだ全然 ・・・」

 

田舎から出てくると

東京の全てが魅力的に見えるだろうな ・・・

 

「一年生の内は

 大学メインで

 サークルとか入ったの?」

 

「入ってないです

 暇がなくて ・・・」

 

確か音大だっけ ・・・

 

「音大だったよね 

 留学は考えてるの?」

 

音楽家になるなら留学は必須と聞く

専攻が何かは知らないけど

 

「行けるのであれば行きたいです

 今は考えていないですけど ・・・」

 

話ながら駅の近くまで来て

ちょっとだけお洒落なお店を見つけた

 

「ここにする?」

 

「はい」

 

ちゃんとエスコートしないといけないけど

このまま何を話せばいい?

 

彼女の大学生活を聞けばいいのか ・・・

 

店に入って席に着き

コース料理を注文して

 

トイレに行くと言って

席を立った

 

母に電話して

どうすべきか聞かないとな ・・・

 

携帯を取り出し

電話を掛けた

 

「翔、珍しい時間にどうしたの?」

 

「あのさ、萌ちゃんが会社の前で待ってた」

 

「え?」

 

母の訝しげな声が返ってきた

 

「明日、そっちに帰るから

 その前に一緒に食事がしたかったって

 無下に返せないだろ?」

 

「連絡先を知らないと

 そう言うことが起きるのね ・・・

 私も迂闊だったわ ・・・

 そこまで牽制できないし」

 

「食事をしたら

 家に帰すけど

 連絡先を教えるべき?」

 

「そうね ・・・

 目の前にして断れる?」

 

「携帯忘れたしかないよ」

 

「その手が通じるかしら?」

 

「分かんない ・・・」

 

「貴方に任せるわ ・・・

 ただ、期待させないようにね

 あくまで親戚のお兄ちゃんよ」

 

「うん、それは分かってる」

 

「あまり長話してると

 携帯忘れたも通じないわよ」

 

「そうだね

 帰ったら電話するよ」

 

「そうして」

 

 

どうしたものか ・・・

 

 

 

 

 

<続きます>