水無月の空 2(珈琲屋と雑貨屋) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

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大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

豆屋が戻ってくると

既にテーブルには曰くつきの骨董が置かれていた

 

「ほ~ ・・・ 珍しい物を見つけたな ・・・」

 

見るなり顎を撫でながら

色々な角度からその骨董を眺める

 

「中には何か入ってるの?」

 

「ええ、使った形跡は有るんですが

 かなり綺麗な状態で ・・・

 吃驚したんです

 これ自体は20世紀初頭の物だそうです」

 

「百年以上経ってるな ・・・

 それで、この子は何て言ってた?」

 

「それが分かったら苦労しませんって」

 

ちょっとムッとした表情になる

 

確かにその通りだ

 

「それもそうだな」

 

苦笑いを浮かべて謝り

これを買う経緯を聞いた

 

「アンテークカップの仕入れに行った先で

 この箱を見つけて ・・・

 店主が言うには

 どうやっても開かないらしいんです

 色々調べて多分だけれど

 フランスの絵の道具を入れる箱だろうと」

 

「ほお ・・・ それで ・・・

 なんで中身が分かったんだ?」

 

「本当に開かないのかなって

 疑問に思ってたら

 店主が挑戦していいというから ・・・」

 

「挑戦したら開いたってこと?」

 

「ええ、すんなり開いたんですよ

 店主が嘘ついてるのかと思うくらい簡単に」

 

「店主は驚いてたの?」

 

「それは目をまん丸くして

 驚いてましたよ

 でも、俺は開かないのを知らないから ・・・」

 

驚けなかったと言いたいらしい

 

「確かにお前にとっては

 普通に開くアンテークの絵の具箱だな」

 

「そうなんですよ ・・・

 で、『これで売れますね』って話して

 俺は買い付けたものを貰い

 店を後にしたんですけど

 車に戻って袋の中身を確認したら

 件の箱が鎮座してまして ・・・」

 

どうしてそうなったのか

未だに分からないのか

何度も首を傾げた

 

「ついてきちゃったんだな」

 

「慌てて、電話して

 『あれ買いましたっけ?』聞いたら

 『ええ、お代も頂きましたので』って言うんです

 全く身に覚えがない ・・・」

 

う~ん 此奴の関する物?

それなら眠れないと言うことにはならない ・・・

 

「今は開くのか?」

 

「それが開かないんです

 何をやっても

 うんともすんとも言わない」

 

「そりゃそうだよ

 全力でお前についていこうと

 力を使たんだ

 今は眠ってるよ」

 

いつの間に入ってきたのか

雑貨屋の後ろに骨董屋が立ってた

 

「気配を消すなよ

 雑貨屋が驚くだろうに(笑)」

 

クレームを言っているのだけど

楽しそうな豆屋

雑貨屋の驚く顔を見るのも好きらしい

 

「すみません、お呼び立てして ・・・」

 

恐縮した顔で頭を下げる

 

「実はこの子をずっと探してたんだ

 気配を消して閉じていたから

 探し出せなくてね

 多分、どこかに仕舞われてたんじゃないか?」

 

「ええ ・・・ 蔵の中に仕舞われてて

 最近、見つけたと言ってました」

 

「それで納得だな」

 

骨董屋はその箱を大事そうに持ち

 

「大丈夫、忘れらてはいないよ

 彼はずっと君を探してた

 元気になったら

 帰るべき家に連れて行くから

 今はゆっくり休んでていいよ」

 

骨董屋が優しい声で話しかけると

この箱が纏っていた暗いものが消え

柔らかい光を纏ったように見えた

(生まれた頃の姿になったんだな)

 

どんな曰くが有るのか

骨董屋に語ってもらおう

 

 

俺の予想だと

持ち主は俺が知ってる人だと思うが ・・・

 

 

 

 

 

<続きます>

 

さて、誰だと思いますか?