水無月の空 (珈琲屋と雑貨屋) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

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大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

雨の季節がゆっくりと近づいてきているのか

かなり蒸し暑い日が続く

薄い水色の中に白い雲が浮かぶ空を見上げ

「今日も暑かったな」と呟く豆屋

 

何故かいつも雨と一緒にやってくる雑貨屋

最近顔を出していない

忙しいのか迷子になってるのか

はたまた、ここを忘れてしまったのか

 

そのどれでもいいと思う豆屋

 

またいつか ・・・ 

ひょっこり顔を出すだろう

そんな風に考えて笑みを浮かべた

 

「おやつにしようか

 今日は白玉あんみつだ

 食うか?」

 

誰もいない庭先で

声を掛けると

そこかしこから

「たべる~」と嬉しそうな声と

店の中に入って行く足音が聴こえた

 

豆屋の庭には

眷属となる妖しの子どもたちが沢山いる

さながら妖しの幼稚園だ

 

「あ~ ・・・ おにいちゃんがくるよ」

 

一人の子妖がニコニコ顔で立ち上がり

庭先の方を指さした

 

「お前が呼んだのか?」

 

「ちがうの~ よんでないの~」

 

心外だと言わんばかりの顔で

思いっきり頭を左右に振る

 

「ほんとうだよ

 ぼくたちよんでないもん!

 それに、まいごだってこえ

 きこえなかったの」

 

豆屋の近くまで来ていながら

此処に辿り着けない雑貨屋を

迎えに行くのが子妖たちの役目

どうやら嘘ではないらしい

 

「あそこから来たようだな」

 

雑貨屋が唯一迷わずに来れる方法

松岡邸の楠の横の露地門だ

 

「ふ~ ・・・ 漸く着いた~」

 

額の汗を拭いながら雑貨屋が現れた

 

「雑貨屋 久しぶりだな」

 

(*違うお部屋に二人出張したのが5月の中旬)

 

「そうですね

 20日くらい経ってます?」

 

指で数えながら

どれくらい会ってないかを

確かめている

 

「それくらいだな

 そんな所に突っ立てた内で中に入れ

 おやつをご馳走するぞ」

 

「ラッキー!

 おやつは何ですか?」

 

「しらたまあんみつ~」

 

店の中の子妖が大合唱

 

「それは食べないと」

 

満面の笑みを浮かべて中に入って聞いて

子妖たちと同じ席に座る

 

「お前たち遊んでもらえ!」

 

「は~い」

 

子妖に大人気の雑貨屋

何処からか出してきた

双六に付き合う羽目に

 

楽しそうに遊んでいるから問題ないか 

目を細めて眺めながら

人数分の白玉あんみつを用意する

 

 

おやつを食べた後

子妖は庭の外に出て遊び始める

 

「漸く涼しくなってきたから

 暫くは外遊びだな」

 

「楽しそうですね(笑)」

 

「忙しかったのか?」

 

「有難いことに

 忙しかったです

 ちょっと困った事も有ったりで ・・・」

 

苦笑いを浮かべながら

首筋に手をやる

 

「ああ ・・・ また厄介の骨董に出会ったな」

 

「厄介なんでしょうか ・・・」

 

半信半疑な顔で

豆屋をじっと見つめる

 

「寝れないだろ?」

 

目の下に薄っすらクマが出来てる

 

 

「一昨日、何ですが

 買うつもりは無かったんですが

 いつの間にか袋に入ってて ・・・

 部屋に持ち帰ったら ・・・

 夜中に声が聴こえて ・・・」

 

どうしようもなくなって

ここに来た!

 

「カバンの中に入ってるの?」

 

「ええ ・・・ 入ってます」

 

バツの悪そうな顔をして

「すみません」って小さく頭を下げた

 

「お前についていけば

 骨董屋に辿り着けると思われたんだな

 骨董屋を呼んでやるよ」

 

「良いんですか?」

 

ホッとした顔で

ゆっくりと息を吐いた

 

 

迷子癖が有るからなのか

迷子に好かれるらしい(笑)

 

 

豆屋さん、庭先に出て

一番大きな木から骨董屋を呼んだ

 

 

 

 

 

 

<続きます>