君のいない迷路 126 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

夕方だと言うのに

夏の陽射しは容赦がない

それでも君が乗った飛行機を眺めながら

3人で大きく手を振る

 

「智(さと)見えてる?」

 

「俺らはここだよ!」

 

俺と内田が声をあげてる横で

真剣に君が乗った席を探す池田

 

「あの辺りだよな?」

 

双眼鏡が有ったとしても

君の顔までは確認できないのだけど

 

「そうそう、ビジネスクラスだから

 あの辺りだな」

 

真面目に答えて

3人でその辺りを凝視する

 

「ふふ、きっと手を振ってるはず!

 そして見えてるはず」

 

内田が笑顔でそう言って大きく頷いた

 

「そうだな、あのふにゃっとした笑みを浮かべてるよ」

 

いつも冷静な池田までもが

その話に乗っかった

 

3人で飛行機が飛び立つのを見送り

さて、帰ろうかとなった時

携帯が鳴った

 

「母だ ・・・」

 

何だろう?

ちょっと嫌な予感 ・・・

 

「屋内展望デッキで待ってるよ

 ここは暑い!」

 

そう言って内田と池田は

屋内展望デッキに入って行った

 

『もしもし どうしたの?』

 

『智ちゃんまだいる?』

 

いきなり君の話?

まさか電話で話したかったとか?

 

『4時15分の便で帰ったよ』

 

『あら ・・・ そうなのね』

 

あからさまに残念そうな声

本気で話したかったんだろうか?

 

『話したかったの?』

 

『ええ、話したかったわよ』

 

『その為に電話してきたの?』

 

『それも有るんだけど ・・・』

 

言葉を濁したから

やっぱり何かあるんだな ・・・

 

『それ以外に何かあるの?』

 

『まあ、事後報告で申し訳ないんだけど

 昼過ぎに電話が有ったのよ ・・・』

 

『誰から?』

 

誰からと聞いたけど

多分、母の従兄弟のおじさんだ ・・・

 

『昨日船の上で会った ・・・』

 

『おじさんが何て言ってきたの?』

 

『今日も東京に泊まるらしいの

 昨日のお礼を見したいから

 夕飯をご馳走したいと ・・・

 そう言われたら

 直ぐに断れないでしょ?』

 

母の立場もあるから ・・・

即答は出来ないだろうな ・・・

 

『そうだね ・・・それで?』

 

『少し間を開けて

 断りの電話を入れましたよ』

 

『ありがとう』

 

『海外から来てる友人と一緒だから 

 今回は遠慮させていただきますって ・・・』

 

歯切れ悪いな ・・・

この続きが有りそうだな

 

『池田達と夕飯食べる予定だから

 どっちみち行けなかったし ・・・

 まだあるの?』

 

『それでね ・・・

 今回は諦めるけど

 貴方が帰省した時

 社会人になった貴方と飲みたいから

 食事の席を設けて欲しいって』

 

『それってあの子も同席するって事?』

 

間違いなく見合いだよな ・・・

 

『そこなのよ

 息子も帰国するから

 家族揃ってって言うのよ

 そうなると断る理由がないのよ』

 

確かにそうだ

息子が帰国するからと言われたら

身構える必要はない

 

『断らなくていいよ

 帰省しなければいいんでしょ?』

 

『え?』

 

『夏は帰省しないからね』

 

『あらそうなの?』

 

『言ってなかったっけ?

 来月、ローダンセの3人で

 智の所に行くって』

 

『あら、そうなのね ・・・

 それなら夏は見送りね

 でもお正月は断れないわよ』

 

『正月は祖父ちゃん家に行くから

 そこで会えばいいんじゃない』

 

向こうがどう出てくるかだけど

 

『それだと角は立たないわね 

 ただ ・・・ 

 これからこういう話が増えるから

 毎回断れなくなるわよ

 それは覚悟してて』

 

『分かった ・・・

 じゃあ、また連絡するよ ・・・』

 

『色々あったから心配してたけど

 頼もしい3人の友人が

 貴方を慰めてくれたわね

 大事にしなさいよ』

 

『ああ、大事にするよ』

 

『偶には私も仲間に入れて』

 

『あはは それは無理だよ

 息子の親友の会なんだから』

 

『あら、冷たいわね

 智ちゃんが帰国したら

 4人揃って遊びに来てよね』

 

『はいはい、そうします』

 

『それじゃ、二人によろしく伝えて

 また連絡しますね』

 

母の声は明るくなってた

当面は断れるだろうけど

この先、色々ありそうだな ・・・

 

 

 

 

 

 

<続きます>