君のいない迷路 88 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

母の従兄弟の中でも

彼は一番野心のない人で

母の良き相談相手だったはず

それでも連絡先を教えることに反対した母

つまりは ・・・ 彼の娘も ・・・

櫻井本家の嫁候補の一人って事だ

 

だから後を追いかけてきた

う~ん ・・・ 考えすぎかな ・・・

単純に東京土産を買いに来たと

考えた方が妥当かな ・・・

 

祖父に宣言してるから

表立った動きはないと思うけど

水面下で ・・・動いてるだろうな ・・・

 

さっき4人で写真を撮った場所に移動して

椅子に座り

夏の日差しを受けて

キラキラ輝く海面を眺める ・・・

 

折角の君との東京観光

こんなことで台無しにしたくない

思わず大きなため息をついた ・・・

 

その時、ラインが入る音がした

 

『携帯は見つかったと連絡したわよ

 『一時帰国している友人と

  東京観光をしているから

  邪魔しないであげてね』って

 やんわり伝えておいたから』

 

母は強いな ・・・

マジで感謝だ

 

『ありがとう

 ただ、お土産コーナーまで

 追いかけて来たみたいだ』

 

『それで、戻ったの?』

 

『戻ってない、池田が知らせてくれて』

 

『それなら大丈夫よ

 連絡先を教えない理由も

 ちゃんと説明してあるから 

 万が一、その話を蒸し返したら

 母に任せてありますと伝えて』

 

『教えない理由?』

 

『ええ、抜け駆けは良くないでしょ』

 

ああ ・・・ やっぱりあの子も候補の一人だ ・・・

多分、祖父のお眼鏡に適った子なんだろう ・・・

 

『母さん、もう一度言っておくけど

 自分の相手は自分で見つける

 見合いする気はないよ』

 

『ええ、分かってますよ

 でも、物事には順序があるのよ

 ちゃんと段階を踏まないと

 波風が立ちますからね

 貴方も気を付けないさい

 良いお兄ちゃんになる必要はないのよ』

 

『そこは反省してる

 サービスしすぎた』

 

『優しいお兄様のままだったと

 感激してたらしいわよ』

 

『ここで冷たい対応は出来ないだろ』

 

『それはそうよ

 本家の人間として満点の対応よ

 だから、それ以上は必要ないの』

 

『了解 ・・・

 声を掛けられても

 笑顔で断るよ』

 

『業務連絡終わり

 観光を楽しんで!』

 

『ありがとう』

 

母は次期当主として動いてくれた

この場を乗り切る方法まで教えてくれた

 

自分の信念を貫くためには

相当な覚悟が必要だと

改めて思い知らされた

 

 

「櫻井 ・・・ 大丈夫か?」

 

君の声が聴こえて

顔をあげたら

心配そうな顔で

俺を覗き込んでた

 

「智 ・・・ 大丈夫だよ

 ゴタゴタに巻き込んだみたいで

 申し訳ない」

 

君の顔を見ただけで

大丈夫だと思えるから不思議だ

 

「巻き込まれてないよ

 僕らは普通にお土産を選べたから(笑)」

 

「そうだよ

 全く巻き込まれてないな

 兎に角、親戚付き合いは大変

 それだけは理解できる」

 

内田は宥めるように

俺の肩を軽く叩いた

立場が似てるから

気持ちがわかるのかも

 

「池田は?」

 

二人が来た方を見ると

池田が手を挙げて

 

「悪い、トイレに寄ってた」

 

そう言って走ってきた

 

ん? ・・・ 微妙な顔をしてるけど

何かあったか?

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>