君のいない迷路 86 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

俺を見た瞬間

にやりと笑って手を振った池田

その含み笑いで全てを悟った

俺の携帯は奴の手の中にある

見事なまでの手腕に脱帽するしかないが

君と内田の手前

あからさまにお礼は言えないから

 

ここは慌ててふりをして

駆け寄っていく

(実際慌ててたんだけど)

 

池田が直ぐに携帯を出してくれたから

無駄な演技をせずに済んだけれど

あの携帯の見せ方に

少々、イラっとした(笑)

 

本来であれば

『直ぐに返せよ、焦ったわ』と

文句の一つも出るんだけれど

奴の機転に助けられたことを考えたら

何も言えないな

 

お土産&グッズ販売コーナーから

(お店と言えるほどの広さだけど)

離れた場所に行き

母に電話をした

 

コール音が数回鳴って

母の声が聴こえる

 

「もしもし 翔?」

 

携帯画面に俺の名前が出てるから

当然の応答なんだけど(笑)

 

「今大丈夫?」

 

「大丈夫よ

 また何かあったの?」

 

色々問題続きだったから

そう言われても仕方ないのだけど ・・・

 

「問題と言うか ・・・

 今、ローダンセの会で

 東京観光してるんだ」

 

「ローダンセの会って ・・・

 3人で?」

 

「いや、4人で」

 

「あら 智ちゃんが来てるの?

 ずるいわ ・・・ 

 お母さんにも連絡してよ

 会いに行くのに」

 

恨めしそうな声が返ってきた

 

連絡する方が可笑しいだろ(笑)

息子の友達の会に割り込む母親って

そうそういないし ・・・

心の中で呟いて本題に入る

 

「智が帰国してから 

 ゆっくり会えばいいだろ

 それより本題に入るけど良い?」

 

「本題? ・・・ そこでも問題があったの?」

 

ちょっと呆れ気味の声

問題と言えば問題なのか? ・・・

 

「問題とかではなくて

 東京湾ランチクルーズで船の上なの」

 

大体の状況を説明した

 

「あら、そんな偶然ってあるのね」

 

可笑しそうに笑ってる

偶然過ぎて笑うしかないか ・・・

 

「俺も驚いた(笑)」

 

「携帯の件は分かったわ

 心配してると思うから

 すぐに連絡を入れる

 もう一つの件だけど

 連絡先は教えないことにする」

 

急に真面目な声に変わった

 

仲の良い従兄弟のお嬢さんだから

「連絡先を教えるわよ」と

言われると思ったら

そこは冷静に判断したようだ

 

「母さんもそう思う」

 

「ええ、その方が良いのよ

 相手がお嬢さんだから

 勘違いされても困るでしょ」

 

「うん、そこなんだ

 言われた時は

 どうしようか迷った

 無下に断れないし

 ほんと、池田に感謝だよ」

 

「ひ~ちゃんは頼りになるから(笑)

 携帯がなければ交換できない

 あの子の機転には脱帽ね

 何かお礼をしなさいよ」

 

「うん、分かってる」

 

「それより、智ちゃんに

 よろしく伝えてね

 私が会いたがってたって」

 

残りの二人は?

本当に君がお気に入りのようだ ・・・

俺の想いを伝えたら

協力してくれるかな ・・・

 

「はいはい 伝えます 

 それじゃあ

 よろしくお願いします」

 

「直ぐに電話するわね

 じゃあ、楽しい旅を」

 

明るい声で電話が切れた

母から断りを入れてもらった方が

説得力がある

 

あの場の言葉は社交辞令と

受け取ってくれてたらいいんだけど ・・・

その辺りは母が何とか

上手く誤魔化してくれそうだな

 

 

 

電話を切って画面を見たら

池田からラインが入ってた

 

 

 

もしかして ・・・ あの人たち

お土産コーナーに来てる?

嫌な予感が頭を過って

ラインを開いたら

 

『戻って来ない方が良い

 記念のグッズは3人で選ぶから

 デッキの椅子に腰かけて待ってろ!』

 

 

やっぱりか ・・・

一緒に選びたかったけど

背に腹は代えられない

 

3人を巻き込みたくないし

紹介してくれと言われたら

それはそれで嫌だ ・・・

その辺り3人も理解してくれると思う

 

 

 

 

 

<続きます>