君のいない迷路 79 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

船長の制服を着て記念撮影

同じ船に乗る方が

4人での写真を撮ってもらった

 

「こうやって写真が増えていくのって嬉しいな」

 

一番の感激屋の内田が嬉しそうに笑う

 

「4人の写真は貴重だよ

 自撮りだとうまく撮れないからな」

 

僕も自撮りは苦手だ

どうやっても顔だけになってしまったり

密着してても顔が切れたりするので

チャレンジをやめた

写真って難しい ・・・

 

 

出航の20分前から乗船

受付から伸びるレッドカーペットを歩いて乗船

 

4階建ての大きなクルーズ船

ざわざわした雰囲気はなく

スタッフの方が優雅に出迎えてくれる

エントランスの豪華さに驚いて

ちょっと緊張してくる

 

「映画の世界みたい」

 

「だよな ・・・ 俺ら場違い?」

 

内田と二人

顔を見合わせて肩を竦める

 

彼と池田君は場慣れしてるのか

それほどの緊張感もなく

穏やかな笑みを浮かべてる

 

「色々迷ったけど

 フレンチのコースにしたから」

 

サラッと彼が伝える

 

「フレンチ?」

 

てっきりバイキングだとばかり思ってた僕たち

本当に大丈夫かな?

 

「内田、一緒に居てよ」

 

「うん」

 

二人で並んでたら

池田君が苦笑いを浮かべながら

 

「カジュアルなフレンチだから

 固くならなくていいよ

 レストランに行く前に

 エントランスで写真を撮ろうよ

 櫻井と大野が真ん中」

 

スタッフの方が直ぐに来て

写真を撮ってくれる

 

「大丈夫?」

 

彼が僕の顔を覗き込む

 

「知らない世界に足を踏み入れたような

 ちょっと緊張してる ・・・」

 

自然と肩に力が入って

いわゆる、かちんこちんな状態

 

「智、肩の力を抜いて

 初めてを楽しもうよ

 実は俺も初めて

 多分、池田も」

 

茶目っ気たっぷりの顔で笑う彼

本当かな?

優しい嘘のような気もする

 

「そうなの?」

 

「ああ、学生にはちょっとお高めだよ」

 

「確かにそうだね」

 

値段を聞いて

ちょっとドキッとしたけれど

何事も経験が大事と思うことにした

 

4人でレストランに向かって歩き出した時

後ろから声がした

 

「櫻井さんの息子さんではありませんか?」

 

父ちゃんと同年代の紳士とその奥さんかな?

その瞬間、彼の表情が強張ったのが分かった

 

「櫻井、先に行ってるよ」

 

池田君が機転を利かせて

僕と内田の顔を見て頷く

 

「ああ、先に行ってて」

 

その場に彼だけ残し

3人でレストランに向かって歩き出す

 

「おばさんの知り合いかな?」

 

池田君がチラッと後ろを見て

気にしなくても良いんじゃないって顔をした

 

多分、実家関係の方だと思う

 

あの身構える表情は

僕には知られたくない事だと察したし

池田君が直ぐに動いたのも頷けた

 

 

彼は僕にだけは

実家の事を知られたくないようだから

 

「櫻井のお母さん

 東京にも知り合いが多そうだから

 きっとそうだよ」

 

池田君の言葉を受けて

内田が同調する

 

「世間は広いようで狭いの典型なのかも」

 

「確かにそうだな」

僕の言葉に二人が頷いた

 

 

彼の家は旧家

それなりの人脈もあるし

知り合いも多いと思う

こう言う偶然もあるだろうな 

 

この船に乗った時

知らない世界に足を踏み入れたと思った

 

まさしく、彼が住む世界は

こっち側の世界なのだと

改めて実感した

 

僕には不釣り合いな場所のような気がして

さっきまでの楽しい気持ちが

萎んでいくように感じた ・・・

 

 

 

 

 

 

<続きます>