取り敢えず打ち破ろうか 210 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

蒼穹殿での朝の儀式が始まる時間に合わせて

行列は本家邸に到着する

いつもなら綾野君が控えているが

今日だけは一人

 

『たった今、離れの特別な部屋に

 画伯と綾野君、小瀧の

 三人によって神器と装束が運び込まれた

 暁殿にご両親並びに御前が入られ

 長のお越しをお待ちだ』

 

綾野君がこちら側で受け取り

画伯と小滝と3人で運び込み

長は暁殿で御前から報告を受けて

儀式は全て終了する

 

「両親も暁殿に居るの?」

 

長就任の儀の際は

二人とも姿を隠さなければいけなかったので

本家邸の別室で待っていたんだけど ・・・

 

『長就任の儀ではないからな

 あの二人も喜んでいるだろう』

 

皇子の取っても両親だ

今回は俺たちの即位の儀だから ・・・

 

 

「翔たちも入った?」

 

『二人並んで邸に入ったよ

 緊張してたみたいだが

 今はホッとしてる

 少し休んでからだな会うのは』

 

「ゆっくり休んでもらってからだな」

 

直ぐに会いたいけれど

休憩も必要、倒れられたら意味がない

そのまま暁殿に移動

 

既に綾野君が来ていて

入り口を開けて待っていてくれた

 

「皆様お待ちになっています」

 

「剛君、お疲れ様

 画伯は?」

 

「画伯は本家邸にお戻りになりました」

 

そう言って笑みを浮かべた

つまりは翔兄の所だ

画伯もお疲れだから

ゆっくり休んでもらおう

 

「そうだ、上座に座らないとダメ?」

 

御簾を下ろす必要がないのだから

近くで話がしたい

 

「宜しいのではと言いたいのですが

 最初のご報告だけは

 上座でお聞きください」

 

それを聞いただけで

堅苦しい口上から始まるのだと察し

肩が凝るんだよな ・・・

 

「御簾は上げたままだよね?」

 

一応確認しておく

 

「はい、上げたままでございます」

 

「良かった ・・・」

 

ホッとした俺の顔を見て

綾野君は先に中に入り

俺が来たことを告げる

 

「長がお入りになられます」

 

その言葉で3人が頭を下げたのが見えた

その必要はないのにな ・・・

 

上座に座り、頭をあげるよう指示する

 

「皆様、頭をお上げください

 長、本家御前より挨拶がございます」

 

綾野君が御前の方を向き大きく頷くと

口上が始まる

 

「長、即位の儀に先立ち

 心よりお祝いを申し上げます

 本日 献納の儀も滞りなく

 終わりましたこと

 ご報告申し上げますとともに

 ・・・・」

 

堅苦しい挨拶から始まり

奉納の儀が無事終わったこと

本家の者たちが屋敷に入った事など

細々とした報告を受けた

 

「御前、即位の儀に対しての支度

 大儀であった

 献納の儀が滞りなく済んだことを

 嬉しく思うとともに

 心より感謝する」

 

御前とは顔を見て話せるので

堅苦しくはあっても

もどかしさは無いが

もう少し砕けた会話のほうが良いなぁ

 

「有難きお言葉

 恐悦至極でございます」

 

またも深々と頭を下げるから

この辺でやめてもらおう

 

「御前、そろそろ普通に戻しても

 宜しいでしょうか?」

 

俺の言葉に笑い出したのは両親

 

「長がそう言ってくださるなら

 お言葉に甘えさせていただきます」

 

「じゃあ、そちらに行きます」

 

装束は堅苦しいが

脱ぐ訳にも行かないので

そのまま3人の傍に行く

 

「御前、お疲れ様でございます

 父ちゃん、母ちゃんもお疲れ様

 かなり疲れたんじゃない?」

 

「御前がとても乗り心地の良い車を

 ご用意くださったので

 移動も快適だったよ」

 

「それに儀式の間は

 私たちは屋敷で待たせて頂けたの」

 

二人ともあまり疲れていない様子

ちょっとホッとした

二人の後ろに帝と妃が笑って座ってる

皇子がその横に座った

 

この光景があの時代に果たされていたら

蒼穹国は光に満ちた国になってただろうな

そんな事を考えてしまった

 

「当然のことですよ

 蒼穹国の帝のご両親様です

 粗相が有ってはいけませんので」

 

「御前、堅苦しいのは装束だけで

 ここには僕たちしかいませんので」

 

「長、ありがとうございました

 私は息子と一緒に

 この儀式が出来ました

 叶わないと思っていたことが叶いました

 これでもう、思い残すことなく

 本家御前の座を譲ろうと思います」

 

「それはダメです

 蒼穹国の改革はここから始まるんですよ

 相談役として残って頂かないと困ります」

 

「御前、智の言う通りです

 まだまだ未熟な長です

 この子を導く方が必要です

 里の中では長老家が

 里の外から本家が

 支えていかなければ

 蒼穹国は纏まりません」

 

父ちゃんの言う通りだ

経験も何もない俺

ここまでは皇子がアドバイスをくれた

即位の儀が済めば ・・・

皇子と話すことは出来なくなる

そう考えると寂しいけど

漸く輪廻の輪に戻り

俺の中に帰ってくる

それは翔様も同じ

 

「父の言う通りです

 時に叱責してくださる

 御前のような方が必要なんです

 引退など考えないでくださいね」

 

画伯とも和解したのだから

今以上に動けると思う

それに画伯も放っておかないだろうから

 

御前は困ったような顔をしたけど

ちょっと嬉しそうにも見えた

 

「引退などしたら

 老けてしまいますよ」

 

母ちゃんの一言で

この場にいる全員が笑った

 

 

 

 

 

<続きます>