取り敢えず打ち破ろうか 209 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

小瀧君と小栗君が灯りを手に

御前と画伯の先導役となり

行列は歩き始めた

そのすぐ後、翔様が戻ってきて

 

『中の様子は伝わってたか?』と聞かれた

 

 

「ええ、翔様が見ていたものが

 俺達に届きました」

 

『それは良かった

 智が力を使ってくれたおかげだ』

 

蒼穹殿があるこの地の神聖力が起こした奇蹟

神に近い皇子が一緒ならより可能だ

 

「とてもはっきり見えました

 智君も見ているんですよね」

 

『ああ、見ていると言ってた

 さあ、もう少しで会えるぞ』

 

「そうですね」

 

翔さまと話し終わった時

運転席の丸山君が振り向いて

 

「お二人ともこの行列の最後尾にお着き下さい

 外は寒いので、コートを着て頂き

 必要であればカイロをポケットに入れるか

 背中に貼って頂いて

 防寒対策をしてください

 山の中ですから想像以上に寒いです」

 

助手席に用意してあった

袋に入った

貼るカイロと貼らないカイロを

俺達に渡してくれた

 

「翔兄、どっちにする?」

 

「そうだな ・・・ 

 俺は背中に貼っていくよ

 これで風邪などひいたら

 みんなに迷惑をかけるからな」

 

真面目な顔で答え

袋から貼るカイロを数枚取り出した

 

「どれくらい歩くんですか?」

 

「かなり時間が掛かります

 日の出とともに屋敷に入りますので

 ざっと見積もっても

 1時間半から2時間でしょうか」

 

この時期の日のでは6時50分くらい ・・・

そうだな風邪ひいたら元も子もない

俺も貼るカイロを選んで

ポケット用のカイロも頂いた

 

「翔兄、貼ってあげるよ

 その代わり俺にも貼って」

 

「じゃあ頼む」

 

大判のカイロを2枚背中と腰に貼る

同じように俺も貼ってもらい

コートを着てマフラーを巻き

手袋をはめた

(もちろんスーツを着てる)

 

そして車の外に出た

丸山君が言うように

ピンと張りつめた空気は

全ての物を凍えつかせるほど冷たくて

思わず身震いをしてしまう

 

「寒いね ・・・」

 

吐く息も白く

思わず口に出てしまった

 

「ああ、舐めてたな ・・・

 ポケット用のカイロを忍ばせて正解だな」

 

頬に当てたくなるほどだ

 

「体はそこまで感じないけど

 耳とか頬とか ・・・ 

 出てるところは全部凍えそう ・・・」

 

「歩いたら暖かくなるだろう」

 

手袋をしていても悴んでくる

手を息で温めながら

歩き出すのを待つ

 

智君のご両親は

この行列には参加しない

御前たちと輿が本家邸に入る前に

本家邸に入ることなっている

(もう入ってるのかも)

そもそも彼らは帝と妃なのだから

本来は迎える側だ

 

 

ゆっくり進む行列を眺めながら

夢のようだと思う ・・・

 

「感慨深いね

 こんな重要な儀式に参加できるなんて

 全部画伯と翔兄のお陰だよ」

 

二人が居てくれたからこそ

御前が俺の同行も認めてくれた

 

「確かに感慨深いな ・・・

 サク、俺はお前に感謝してるんだ」

 

「何を?」

 

「お前が迷わず耀を捨ててくれた ・・・

 だから俺も迷わなかった

 もしそのまま残って

 内側から一族を変えると選んだら ・・・

 俺はどうしてただろな ・・・」

 

そう言って、空を見上げた

 

「翔兄は迷わなかったよ

 自分で思うより頑固だからね(笑)

 俺の方こそ感謝してるんだ

 一緒に悩んで考えてくれた

 そして道しるべになってくれた

 だから正常な判断が出来たんだ」

 

翔兄と画伯の強さが

頼もしくて眩しかった

 

もし、翔兄が当主になったなら

傍で支えようと思ったかもしれない 

 

橘の血を受け継いでいるのは翔兄だよ ・・・

 

「お互いが同志だな」

 

顔を見合わせて

二人でにんまりと笑った

 

「二人とも最高の男だ

 橘の一族は安泰だな」

 

翔様が誇らしげな声で

話してくれた

それが嬉しくて泣きそうになった

 

陽の一族に翻弄されなければ

蒼穹の皇子と翔様の恋は成就したと思う

千年の時を越え漸く実を結ぶ二人

 

 

漸くだよ ・・・ 

長かったね ・・・

 

 

丸山君が俺たちの肩を叩いて

「どうぞお進みください」と言った

その言葉に促され

二人並んで行列に加わった

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>