取り敢えず打ち破ろうか 208 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

御前と画伯が蔵に入った後

輿を中に入れるため

灯りを手に持っていた小栗君と小滝が

担ぎ手と代わり

輿と共に蔵の中に入って行った

そこから暫くは蔵の前は闇の中

 

『智、私たちは中に入るよ』

 

皇子がそう言って

翔様と蔵の中に入って行く

 

「翔たちには見えないな」

 

ぼそっと呟くと

綾野君が笑みを浮かべて頭を左右に振って

 

「翔様がご一緒ですよ

 車の中の二人も

 中の様子が見えていると思います

 御心配には及びません」

 

翔も勾玉を身に着けてる

そして近くに皇子がいる

それくらいの事は出来るだろうな

今の皇子なら

 

蔵の中の灯りも蝋燭で

仄かな明かりの為

目を凝らさないと見えない

 

輿が通る道まで出来ていた

 

「剛君、準備が大変だったでしょ?」

 

ここ数日、猫の手も借りたいと言う顔をしてた

蔵の仲間で整備してたとは

殆ど手伝う事は出来なかったから

小瀧と二人でしたのだと思う

 

「大変ではなかったです

 即位の儀の準備に携われること自体が

 名誉なことですので」

 

「そう言って貰えると嬉しいよ」

 

「長が決断してくださったからですよ

 本家に連なる者たちも

 この里の者たちも

 願い続けたことですから」

 

千年の時を越え名を取り戻すのだから

喜びもひとしおなのが伝わってくる

(俺としては背筋が伸びる思いだけど)

 

御前が宝物殿の前に立ち

扉を開け

帝冠の入った螺鈿細工の箱を

瑠璃色の布でくるみ

陽の光色の紐で結わえた

 

「まるで陽が昇るみたいだな」

 

「そうですね」

 

綾野君は感慨深げな顔で呟いた

 

その箱を恭しく取り出し

ゆっくりと画伯に手渡す

受け取った画伯は

両手で掲げるように持ち

輿に向かって歩いていき

輿の中に納めた

 

同じ手順で宝剣、勾玉を輿の中に納め

蔵の中での儀式は終了した

これだけで

かれこれ一時間以上経過している

 

御前と画伯が宝物庫からゆっくり外に出て

入り口に向かって歩きだすと

小瀧たちが輿を担ぎ後に続く

 

入り口前には

先ほどの担ぎ手の二人が

灯りを手に御前たちが出てくるのを待っていた

 

 

「ここからは彼らが先導役?」

 

「はい、大切な神器を運びますので

 あの二人が運びます」

 

「心なし、小瀧が震えてるように見えるけど」

 

「震えていると思います

 とても名誉ではありますが

 緊張しますので」

 

「そうだな」

 

ここからは時間をかけて

徒歩で本家邸に輿を運ぶ

陽が昇る時間に到着予定だ

 

「吐く息が真っ白だな ・・・

 相当寒いのだろうな」

 

山の中にある屋敷

かなり気温も下がっているはず

 

御前も画伯も全く寒さを感じさせないほど

堂々と背筋を伸ばし歩いていく

 

「防寒対策は万全でございますので

 御心配には及びませんよ」

 

「そう言われても ・・・

 雪が積もってるから ・・・

 風邪でも引かないかと思ってしまう」

 

「背中や腰に数枚のカイロと

 装束の下には厚手のレギンスを

 歩いていると暑いかもしれません」

 

自信満々に答える綾野君

少し笑みも浮かべてる

 

「もしかして試した?」

 

「はい、何度も試しましたので

 問題はございません」

 

「それなら安心だ」

 

そこまでの対策をしてるなら問題ないな

 

『智、画伯たちが歩き出したので

 私たちも一旦戻るよ』

 

「皇子、ありがとうございました

 貴重な儀式が見れました」

 

『ああ、翔たちも喜んでいるようだよ』

 

同じ光景を目にすることが出来て

それだけでも幸せだな

 

「長 ・・・ 私は本家邸で

 お出迎えの任がございます

 離れの部屋に納めましたら

 暁殿に向かいます」

 

離れの部屋に輿が入った後

暁殿で御前から報告を受け

その後、本家邸に渡り

翔たちと対面する

 

「承知した」

 

今日は一日

堅苦しい作法が続きそうだ

 

でも ・・・ 翔たちに会えるから

それくらいは我慢だな

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>