取り敢えず打ち破ろうか 204 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

何個も雪うさぎを作り

持って帰るんだと濡れ縁に並べたさとち君

どうやって持ち帰らそうか

画伯と相談してガラスの長皿を用意

さとち君が一生懸命作った雪うさぎを載せてあげると

目をまん丸くして大喜び

この笑顔を見れただけで

俺達は幸せな気持ちになれた

夕方、蒼さんが迎えに来て

さとち君は笑顔で帰って行った

 

「チビちゃんがいるだけで

 明るくなるな」

 

「ええ、何もない離れに

 眩い光が射し込んだ感じですよね」

 

人の出入りがないから

昼間でも静かで寂しい場所が

さとち君がいるだけで

庭先も賑やかになるから不思議だ

 

「帰ってしまうと寂しいな」

 

画伯がしみじみ呟くから

ちょっと笑ってしまった

 

「長、画伯、入っても宜しいでしょうか?」

 

「剛君、入って良いよ」

 

襖を開けて入ってきた綾野君

さとち君が帰ったのに気が付いて

ちょっとがっかりした顔をした

 

「蒼さんお迎えに見えたんですね」

 

「また遊びに来ます

 剛君によろしく伝えてくださいって

 伝言を預かったよ」

 

「もう少し早く来ればよかった ・・・」

 

ちょっと悔しそうな表情を浮かべる

綾野君にしては珍しい

画伯が傍に行って

慰めるように肩をトントンと叩いた

 

「俺たちも寂しいなって話してたところ(笑)」

 

男3人が肩をがっくり落とす姿は

ちょっと滑稽な気がして

顔を見合わせて吹き出してしまう

 

「そうでした ・・・

 屋敷表に居た者は全員帰りました

 お二人とも離れから出てくださって大丈夫です

 お電話も可能ですよ」

 

翔と翔兄に連絡してくれたのは綾野君

流石に画伯でも何度も屋敷表には出れなかった

 

「そうなの?

 そろそろ出発じゃないかな」

 

夕方には本家を出ると聞いてたから

電話が間に合うかだけど

 

「さっきは俺だったから

 今度は長だよ

 御前と同じ車だと大変かもしれないなぁ」

 

その姿を想像しながら話す画伯は

なんだかとても楽しそうに見える

 

「長、お急ぎください

 私は画伯と一緒にゆっくり参ります」

 

二人がにやにや笑いながら

早く行けと言う仕草をする

お言葉に甘えて

急いで電話室まで走って行った

 

屋敷表に出ると

本家の邸から小瀧と小栗君が戻ってきていた

 

「長 ・・・ どちらに?」

 

小瀧に声を掛けられたけど

電話室を指さして

そのまま駆け込んだ

 

2か月以上ぶりだ

翔に電話を掛けるのは

ちょっと緊張してきた

ふ~っと息を吐いて深呼吸

 

携帯番号をダイヤルして

受話器を耳に当てた

 

何度かのコール音の後

警戒してるのか

訝しげな声が聴こえた

 

「はい ・・・ どちら様ですか ・・・」

 

いつもなら公衆電話の表示で気が付くのに

何故に今日は気が付かない

 

「俺ですが」

 

「へ?」

 

声で気が付いたのか

素っ頓狂な声が返ってきた

 

「へ?じゃねえよ

 公衆電話と言ったら俺だろ!

 すぐに気が付くと思ったのに」

 

拗ねた声で言うと

小声になって

 

「ごめん

 だって離れから出れないって

 綾野君から聞いてたから」

 

どうやら傍に御前がいるようだ

 

「御前が傍にいるの?」

 

「近くにいらっしゃいます

 翔兄と話してるから大丈夫だけど」

 

「出発前だよね」

 

「そうそう、もうすぐ出るよ」

 

「間に合って良かった」

 

「明日の未明に着く予定だから

 休憩の時、また電話するよ」

 

嬉しそうに言うけど寝てくれ!

未明に着くんだから ・・・

 

「掛けなくていいから

 しっかり睡眠を取ってきて

 明日から忙しいよ」

 

「それは分かってるけど

 夕食の時間なら大丈夫でしょ

 離れに戻っちゃう?」

 

「いや、屋敷表に居るのは5人だけだから

 寝るまではこっちにいる」

 

「じゃあ、掛けるよ

 翔兄だって掛けると思うよ」

 

「画伯に伝えるよ」

 

「画伯にお礼を言っておいて

 御前の配慮に感激したって」

 

「それは御前に言わないと」

 

「伝えたよ 

 だから画伯にも伝えて欲しいの」

 

「うん、分かった」

 

「御前は翔兄のお父さんだから

 俺のおじさんだな」

 

御前と翔兄が打ち解けている様子が

翔の言葉から伝わってくる

画伯、良かったね 

 

「御前によろしく伝えて」

 

「それは無理だよ」

 

意外な返事に驚いてしまう

 

「なんで?」

 

「だって、貴方は長だから

 御前が恐縮しちゃうでしょ」

 

「はあ?俺にとってもおじさんだから

 ちゃんと伝えて!

 翔兄にも!」

 

「分かったよ」

 

渋々承諾するから

ちょっと意地悪く

 

 道中お気をつけて

 こちらでお待ちしています」

 

仰々しく言うと

翔は可笑しそうに笑う

 

「じゃあ、そちらに向かいます!

 会えるのを楽しみにしてるね」

 

「ああ、じゃ後で」

 

「後でね」

 

 

そう言って電話が切れた

 

夕食の時間、絶対に電話してくるな

今日は5人でゆっくり飲むか ・・・

 

明日早いんだった

まあ、何とかなるか(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>