取り敢えず打ち破ろうか 203 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

画伯と電話した後

出発の準備をしながら

画伯からの電話を待つことにした

 

「翔兄、もしかして ・・・

 櫻井本家にあるのかもしれないよ」

 

考えたくないけれど

価値のあるものは本家が全部持ってる気がする

思い返すと当主の家には

昔の価値が有る物は何も残されていなかった

骨董品と呼ばれるものは置いてあったが

博物館クラスの物は殆どなかった

 

「有り得るな

 あの欲深い一族なら」

 

吐き捨てるように言った翔兄の顔は

嫌悪感に満ちていた

 

「そうなると無理だよね」

 

「そうだな ・・・」

 

手も足も出ない場所にある場合

取り返すことも出来ない ・・・

 

「櫻井様、お電話が入っております」

 

廊下から家令さんの声

そんな直ぐに返事が来たの?

 

もしかしたら ・・・

蒼さんでも分からないのかも ・・・

翔兄もそう思ったのか

肩をがっくり落としたように見えた

 

電話の所に急いで行き

翔兄が俺に出るように言った

 

『先ほどお電話を頂きました

 綾野と申します』

 

電話の主は画伯ではなく綾野君だった

 

「綾野君だ」

って小声で言うと

翔兄が『ん?』って顔をして首を傾げた

 

二人は電話室に出てこれないって事かな

 

「すみません、お手数をおかけしました

 智君も画伯も電話室には出てこれないんだね」

 

「はい、お客様がお見えになり

 ご連絡が遅くなりました

 先ほどご依頼を頂いた件ですが

 どちらも見つかりましたので

 ご安心ください」

 

事務所で電話をしてるから

こういう話し方になる

 

お客様?

 

『お客様って ・・・蒼さん?』

 

 

『はい、すぐに連絡が取れましたので

 お二人で対応していただきました』

 

『もう一人はさとち君?』

 

『左様でございます』

 

だから画伯も電話に出られない

それなら納得

 

『蒼さんが見つけてくれたんだね』

 

『はい』

 

『明日の朝には届けてもらえるの?』

 

『前日と伺っております』

 

儀式の前日か ・・・

ってことは ・・・ 蒼さんの所にはないのかも

 

『蒼さんが持ってるわけではないんだ』

 

『それについては答えられないと

 仰られておりました』

 

『ありがとう

 最悪、耀の本家に有ったら

 諦めるしかないと

 話してたところなんだ

 届けてもらえると分かって

 ホッとした ・・・』

 

『こちらも安堵いたしました』

 

『明日の未明にはお伺いしますので

 どうぞよろしくお願いします』

 

『はい、お待ち申しています

 お気をつけて、お越しください』

 

『じゃあ、二人のも

 それから蒼さんとさとち君にも

 ありがとうと伝えて』

 

『畏まりました 

 それでは失礼いたします』

 

電話切って振り向くと

翔兄もホッとした顔をした

 

「やっぱ、頼りになるな蒼ちゃんは」

 

「翔兄の機転のお陰だよ

 でも、どうやって連絡が取れたんだと思う?」

 

電話は全く繋がらなくて

それ以外の方法ってあるか? 

首を傾げてると

翔兄が思いついたのか「ああ」って顔をする

 

「分かったの?」

 

「木だよ木

 木のネットワークを使ったんだ

 智君が思いついたんだな」

 

そう言えばそうか ・・・

さとち君が木と話をするところ

何度も目にしてたのに

思いつかなかった

 

「それでいつ届けてくれるって?」

 

「儀式の前日に届けてくれるそうです」

 

「蒼ちゃんが持ってた?」

 

「それが違うみたいで

 答えられないって」

 

「持ってる人が口止めしてるのかも

 まあ、無事に見つかって何よりだな

 翔様も喜んでるよ」

 

「喜んでますよ」

 

翔様はあまり表に出てこなくなった

もしかしたら力が薄れて来てるのかも

多分、皇子と離れてるからだろうな

 

 

 

<続きます>