取り敢えず打ち破ろうか 150 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

新年の儀が終わってから

長老会が一つに纏まったように感じる

 

「画伯、里の雰囲気が

 穏やかになったと思うのは

 気のせい?」

 

「気のせいじゃないよ

 暁の一族は漸く前を向けたんだ

 真の長の宣言で」

 

「蒼穹の一族に戻ること?」

 

確かにあの日、暁殿に集まった人たちは

喜びの声を上げてたし

泣いてる人もいた気がする

 

「どんなに対の一族だと言われても

 陽の一族に隠れる存在 ・・・

 その呪縛から解放されるんだ

 里の者が一丸になるのも当然

 長老会も変化が起きてるようだよ」

 

「変化ですか?」

 

「ああ、君が介入しなくても

 筆頭長老家は東の家に戻る

 そしてその下に松本、二宮の家が付く

 坂本、城島の家は長老家を返上するだろうな」

 

「そんなとんとん拍子にいくかなぁ ・・・」

 

画伯の言う通りになるなら

それに越したことはないけど 

ひと悶着なければいいんだけど

 

「君はまだ分かってないな

 一族の悲願がどれだけ大きかったか ・・・

 本家も同じ(笑)

 それはそれは凄い騒ぎになってる」

 

そう言ってくすくす笑う

 

「御前がですか?」

 

「ああ、君の即位の儀を済ませたら

 引退するって言った」

 

「え? ・・・ 引退ですか?

 それはそれで大変なんじゃないの?」

 

「跡継ぎは要るから問題ない

 それに見極める者の力も

 必要なくなったからな」

 

画伯にそう言われると

寂しくなってしまう

このまま縁が切れるのは嫌だな ・・・

 

「画伯はどうするんですか?」

 

「東京に戻って

 絵描きを続けるよ」

 

「これっきりにはならないですよね

 画伯は俺の兄さんだから

 嫌ですよ、絶対に!」

 

「ふふ ・・・ そう簡単に切れる縁ではなさそうだから

 安心していいよ」

 

「良かった ・・・」

 

ホッとしてる所に

綾野君の慌てた声が聴こえた

 

「長、失礼します」

 

「どうぞ」

 

余程慌ててるのか

返事を聞く前に襖があいた

 

「綾野君には珍しいねえ

 そんな慌てて ・・・」

 

画伯がキョトンとした顔をする

 

「何かあったの?」

 

「それがですねぇ ・・・

 美術館の職員募集に ・・・」

 

職員の募集は二宮家が担当している

(館長候補が和也だからだ)

 

「まだ募集してたの?」

 

「ええ、当初の募集人員では

 運営に支障をきたすと判断され

 数名、2次募集を掛けたようです」

 

博物館は人が少ないように見えて

多くの人が働いてる

そこを理解していなかった

和也の甘さだ 

(すかさず二宮家がフォローしたのだろう)

 

「そうなんだ ・・・」

 

長は承認するだけで

人事権は持っていないから

何も言える立場にないんだけど ・・・

 

画伯が横でにやりと笑った

 

「綾野君、和也君が慌てて相談したの?」

 

「そうなんです

 立場上、和也君は面接に関わりますので」

 

「だろうな 館長なんだから ・・・

 それがどうして慌てるの?」

 

「彼が申し込んできたんだろ?」

 

「そうなんです

 どういたしますか?」

 

二人は理解してるのか

会話が成立してるけど

全く話が見えない 

彼って誰?

 

 

「自分にとって大切な人の

 未来は見えないから

 仕方なけど ・・・

 彼って言うのはサクちゃんだよ」

 

「・・・・・・・」

 

全く予測していなかった言葉に

固まってしまった ・・・

 

 

彼奴、何考えてるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>