秒針の違うGravity 260 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

3人で向かった先は

川の河口にほど近い場所にあった

想像よりもはるかに大きな邸宅で

イギリスの有名な建築家が設計した建物で

外壁が空色のお洒落な洋館と

池泉回遊式庭園を持つ和風建築からなる

重要文化財だ

 

 

 

洋館の入り口から入ると広いホール

 

「ものすごくお洒落 ・・・」

 

ため息が出るほどの豪華さ ・・・

 

「昔の建物の方がお洒落だと思う

 僕の感想だけど」

 

ホールを見回しながら

細部まで見ている君

 

「すげえな ・・・ こんな家が

 俺らの住む町にあるってのが

 不思議じゃねえ」

 

内田もポカンとした顔で

ホールの真ん中で一回転する

 

「当時、日本屈指の財閥の家だから

 贅を尽くした建物なんだよ」

 

「ここって、ドラマや映画のロケに

 使われてるよね」

 

「写真が入り口の所に飾ってあった」

 

有名な女優さんや俳優さんが

当時の洋装をして映っていた

 

「何にもないところなのにね ・・・」

 

確かに東京のような都会でもない

どちらかと言うと田舎の町にある

当時最先端の建築

 

「櫻井はこういうの興味があるの?」

 

「建築にも興味があるし

 文化財も割と好きだな

 俺の場合、仕事に直結するだろ」

 

「旅行会社だからそうなるか

 智もそうだよな?」

 

「ここの資料は沢山持ってる

 入ったのは初めてなんだよな」

 

 

話をしながら館内を回る

 

「彼奴せっかちだな」

 

内田がずんずん先を歩いていき

ゆっくり歩く俺たちは置いて行かれる

 

「同じ場所に居るんだからいいんじゃない」

 

君がくすくす笑いながら

壁や窓や天井の細部に視線を移していく

 

 

「今朝 ・・・ 喫茶店に行ったって言ったじゃん」

 

「うん」

 

「そこに、内田の好きな子がいた」

 

「高里が来てたの?」

 

「そう、偶然なのかな?」

 

俺と会う為に来てくれたとは言わずに

会ったことだけを伝える

 

「紹介したかったのかもよ」

 

「年末はチラッと会ったけど

 イメージが全然違った

 かなりさばさばした人だった」

 

「アニキみたいな感じだろ?」

 

「そうそう 

 甘えるのが下手そうな人に見えた」

 

「その通りかな

 結構強がりで

 何でも一人でこなしちゃう

 でも、内田には弱音が吐けるみたいだよ」

 

彼女が友人のままでいたい気持ち

あの家を見て

何となく理解できた

 

「どう言えばいいのかな

 上手くいって欲しいんだけど

 彼女にとって内田は親友なのかと」

 

「ああ ・・・ そうかも ・・・

 親友から恋人になるって

 なかなか難しいのかも

 内田には言えないけど」

 

「内田の母ちゃんが認めてるって

 言ってたよな」

 

「うん、高里と一緒に居るなら安心って ・・・」

 

それが余計に

足を引っ張ってそうな気がしてきた

どうやっても家からは離れられない

現実を突きつけられてる様で

付き合うなら覚悟が居る

内田が言えないのはそれが理由だと思う

 

 

俺と同じ ・・・

 

一緒に乗り越えて欲しいと

今の俺には言えない ・・・

(意気地なしだ)

 

「彼女が覚悟を決めてくれるかだな」

 

「こればっかりは成り行きを見守るしかないな

 心を許せる相手が一番なんだけど

 それが恋になるかは別だし」

 

 

恋心って難しいんだろうな ・・・

 

「智ならどうする?」

 

そう聞くと

戸惑った顔で視線を逸らせた

 

「拙いこと聞いた?」

 

「今の関係が心地よければ

 それを壊したくないと思うかもしれない

 でも ・・・ それじゃ前に進めないから

 何かしらのアクションは起こすかも

 ・・・ 一般論だけど ・・・」

 

「それはあるかな ・・・

 一般論だけど」

 

二人で同じ言葉で締めくくって

お互い苦笑い

 

「お~い

 こっちに昔の旅行鞄が残ってる

 当時のって頑丈なんだな」

 

隣の部屋から

こっちこっちって

内田が手招きした

 

 

 

 

 

 

<続きます>