(続)彼方へ 50 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

年末年始を一緒に過ごして

二人の距離は縮まったはずなのに ・・・

依然と全く変わりのない態度

いや、前よりも冷たい

同じ家で生活しているのに

視線すら合うことなく

会話も通り一遍の挨拶

正直、避けられてるんじゃないかと

勘ぐりたくなるほど

距離が開いた気がする

 

理由が分からないから余計辛い

 

学業に専念すると言った以上

そこは筋を通さないといけない

毎日、大学に行き(当然なことなのだが)

貴方が留学する時

一緒に渡仏するための準備を始めた

 

先の戦争で大打撃を受けた仏蘭西

向こうで始めていた会社も

今はないも同然 

(だから、やることは沢山ある)

 

 

それで何とか気を紛らわしている

でも ・・・ ちょっと ・・・

いや ・・・ かなり寂しい ・・・

 

 

 

夕暮れ時 ・・・ 大学の門を抜けようとしたら

門を背もたれにして立ってる男 

後姿が雅紀に似てる ・・・

 

まあ ・・・人違いだろうけど ・・・

素通りしようとしたら

慌てた声が聞こえてきた

 

「翔ちゃん ・・・ 素通りしないでよ」

 

振り向くと紛うことなく雅紀

ちょっとムッとした顔をした

 

「雅紀 ・・・ どうしたの?」

 

「どうしたって ・・・ 待ってたんだけど ・・・」

 

困りごとがあると

待ち伏せ作戦はよくあることだけど

大学まで来るのは珍しい

 

「急な用?」

 

「急な用というか ・・・

 まあ ・・・ ちょっと気になる事があって ・・・」

 

気遣いの出来る奴だが

あまり深く悩むことがない

英語で言うとポジティブな性格

ピンチをピンチだと受け止めない所は

見習いたいって思うときがある

 

「珍しいな ・・・ 二宮の事?」

 

此奴が一番悩むのは

二宮が絡んでることが多い

 

「なんでわかるの?」

 

そう言って苦笑いを浮かべた

 

「分かるよ(笑)

 お前は自分のことでは悩まないもん」

 

「それはお気楽って意味?」

 

さっきよりも不機嫌な顔をする

 

「そうじゃない

 雅紀は前向きだろ?

 失敗しても、落ち込まない」

 

「それ褒めてないし ・・・」

 

口を尖らせてじろりと睨まれた

 

「最後まで聞けって ・・・

 落ち込むよりも

 どうすれば成功するか

 そっちを考えるだろ

 つまり前向き、二宮とは正反対

 喧嘩したのか?」

 

「う~ん ・・・ 喧嘩なら良いんだけど ・・・

 カズが怒るのは慣れてるから ・・・

 そうじゃなくて ・・・ また悩んでる」

 

「何を?」

 

撮影所に就職が決まり

春から京都に行く

住む所も決まったし

後はその日を待つだけなのに ・・・

 

「俺のことかも ・・・」

 

自信なさげに項垂れる姿が

かなり悩んだ様子に見える

 

「お前の事?

 なんでそう思うの?」

 

「『ま~君は本当は

 京都に行きたくないんでしょ!』

 そう言うんだ ・・・

 『行きたい』って言っても信じないし ・・・

 なんでだと思う?」

 

思ってもいないことを

そうだと決めつけられたら 

そりゃ、どうしていいか分からないよな ・・・

雅紀としてはお手上げ

 

「なんか言った?」

 

「言ってないよ ・・・

 『何を聞いても良いよ!』って

 言うのが気に入らないらしい ・・・」

 

ああ ・・・ なるほど

建設的な会話ではない ・・・

 

「それは気がないって

 思われたのかもな」

 

「だって、何か言うと倍になって返ってくるから ・・・

 カズが好きなようにすればいいと思うの」

 

確かに口から生まれてきたような

減らず口ばかり叩いてる

 

「自信家に見えて臆病だからな ・・・

 その上、天邪鬼だし ・・・」

 

一番臆病で繊細

それを知られたくないから

虚勢を張る

 

「翔ちゃん、言い過ぎ!」

 

こう言うところなんだよな ・・・

甘やかしすぎな所がある ・・・

幼馴染のお兄ちゃんだから

仕方がないが ・・・

 

「優しすぎるんじゃねえの

 偶には間違ってるって言わないと」

 

俺の言葉を聞いて

大きなため息をついて

 

「やっぱ翔ちゃんじゃ ・・・

 無理だな ・・・

 大ちゃんに相談する」

 

そう言ってすたすたと歩き始めた

 

雅紀は迷うところがない

二人は陰と陽 ・・・ 

雅紀は陽なんだ ・・・

 

絶妙なバランスで成り立つ二人なんだが ・・・

 

「雅紀 カフェに行くの?」

 

「うん ・・・ 翔ちゃんじゃ

 わかんないじゃん」

 

「それは随分な言いよう」

 

「似てるんだって

 翔ちゃんと俺は 

 だから ・・・ 解決策が出てこない」

 

「確かにそうかも ・・・

 お前が行くなら俺も ・・・」

 

「何でそうなるの?」

 

立ち止まって

止めてって顔をする

何で止める?

 

「最近、二人で話すこともなくて ・・・

 挨拶止まりなんだ ・・・」

 

雅紀が一瞬黙った ・・・

 

「心当たりあるの?」

 

「ないない ・・・ ないって ・・・

 それに今は俺の悩み!」

 

必死で手をひらひらさせながら

頭を左右に振る

 

何かあるな ・・・ 

こうなったら

ついていくしかない

 

「いくぞ!」

 

雅紀の前を歩き始めると

後ろで小さくため息が聞こえた

 

 

 

 

カフェの傍まで行くと

いつもの場所に二宮が

 

 

「雅紀 ・・・ 先客」

 

振り向くと

雅紀も気が付いたのか

神妙な顔をする

 

 

 

確かに深刻そうだ ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>