Wish you were here  753 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

隣に座る翔さんの匂いを感じたら

何だかホッとした

『ハグしても良い?』って聞くから

思わず笑ってしまった

だって、今までは聞きながらハグしてたのに(笑)

 

「何から話したらいいかな ・・・」

 

翔さんの手に僕の手を重ねた

 

「何からでも良いよ

 ゆっくり話そう

 時間はたっぷりあるから」

 

そう言いながら手のひらを上に向けて

僕の手をギュッと握り締める

 

「うん ・・・ 上手に言葉に出来ないけど ・・・

 翔さんの小説が売れて

 凄く嬉しかったんです

 メディアにも取り上げられ

 沢山対談して ・・・ 嬉しいのに ・・・ 

 ちょっと淋しくて ・・・

 遠くに行ってしまったような感覚で ・・・」

 

離れるつもりはなかったけど

少しの間だけでも

距離を置くべきかなって

ずっと考えてた ・・・

 

「距離を感じたって事?」

 

少し淋しそうな表情を浮かべる

 

「僕が勝手に感じてたんです ・・・

 大事な時期なのに

 足を引っ張ったらダメかなって ・・・

 我儘言って困らせるのも控えようって

 だから暫くは会いませんって伝えたんです」

 

それが最善の策だって

思い込んでた ・・・

師匠の言葉も聞かないで ・・・

「堂々と逢いに行け」って言ってくれてた

 

「それを受け入れた俺もダメなんだ

 ちょっと調子に乗ってた ・・・

 貴方に迷惑が掛からないように

 貴方を守るために我慢しないとって ・・・

 それって上からだと思わない?」

 

自分に呆れてるって顔をして

頭を左右に振る

 

「上からですか?」

 

「ああ、俺なんか全然有名人じゃないし

 小説家と名乗れるほどの者でもない

 今回の小説が偶々売れただけ

 それもほんの少し」

 

自嘲気味に話し始める翔さん

でも ・・・ そこは違うと思う

偶々で小説は売れない時代だって

シゲちゃんが言ってた ・・・

 

「偶々じゃないです

 あの小説は売れるだけの内容です

 そこは違います!」

 

読んで勇気をもらった

僕がモデルだって言うけど

そうじゃない ・・・

あそこまで強くない 

 

「ふふ ・・・ 貴方のその優しさに甘えてた

 俺ね ・・・ 何にもできないおっさんだよ

 なのに、持て囃されると勘違いしてしまう

 偉そうに貴方を守るって ・・・

 そこはお互いに支え合うなんだ

 それが引いてはどちらも守ることになる」

 

「支え合う ・・・ そうですね ・・・

 僕も僕なりの方法で

 翔さんを守りたいって思った

 それが距離を置く事だって ・・・

 母ちゃんに言われてハッとしました

 僕は翔さんが好きです

 小説が売れても売れなくても

 翔さんは翔さんだから」

 

「俺は俺 ・・・ そうだね

 俺は貴方に恋焦がれる男

 それ以外の何者でもない(笑)

 堂々とお店に行く方法を考えたよ」

 

翔さんがニヤリと笑う

 

「堂々とですか?」

 

「ああ、後で話すね」

 

「僕も考えました ・・・

 嘘をつくのが下手だから

 お店に出ないようにしてた・・・

 師匠も気を遣って

 作業場と工房の仕事にしてくれたけど

 それは不自然です ・・・

 だからお店に出ようと思います」

 

吃驚した顔で僕を見つめる

 

「お店に出るの?

 大丈夫?」

 

「ええ、翔さんお店に来てくれていいです

 誰かに聞かれたら

 『大切な友人』ですって答えます

 友人って言うのに抵抗が有ったけど

 お互いが分かってれば

 別にそれでいいと思いました

 逢いたいのに我慢するのは違うから」

 

唖然とした顔をするから

思わずドキッとした

 

「気を悪くしましたか?」

 

「ううん ・・・ 俺は否定する事ばかり考えてた

 あの店は舞台じゃない

 ヒロインは別にいる ・・・

 だから、色々画策して ・・・

 貴方は逆だ ・・・ 認める事を前提に ・・・」

 

「嘘も方便です ・・・

 『友人じゃない恋人です』と

 触れ回る必要はないから

 僕たちの大事な人だけが知ってれば

 それくらいの嘘は許されます」

 

「確かにそうだね ・・・

 うん、貴方がそう言ってくれるのなら

 俺も『大切な友人』だと言える強さを持つ

 ただ、安全な策を講じておきたい

 それはお互いを守るための物だから

 聞いてくれる?」

 

「はい ・・・ 」

 

翔さんが上田君と考えた策を話してくれた

 

 

その方法なら ・・・

あの商店街がロケ地になっても問題ない

そして翔さんも普通に商店街を歩ける

僕もお店に出られる

そうなれば、さっきの

『大切な友人』は通用する

 

 

 

何だか道が開けてきたような気がする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 <続きます>