同じ夢を見ていたい 1(妖精さとち大人編) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

このお話は

『キミの夢を見ていたい』から派生した

パラレルの未来編です(短編予定)

(プチ誕生日企画です)

 

 

 

 

 

 

ここは中世?って思うほど

古い町並みの旧市街

そこに王子の住むお城がある

ここから車で数時間の所に

侯爵と王子の離宮があり

その近くに別名『神の庭』と呼ばれる国立公園がある

 

王子はもうすぐ王になる

侯爵家はマサキさんが当主になり

ショウ侯爵は王子の片腕となった

王子が王になるのは

この国がエルフの国と密接に繋がってるからだ

 

僕はこの旧市街の侯爵家所有のアパートメントの一室に住んでる

保護者は、言わずもがな大ちゃんと翔先生

翔先生はこの国で日本語の教師で

大ちゃんは絵を描きながら美術館に勤めてる

 

どうして此処が勉強する場所に選ばれたのか

昔からアルフヘイムからの友人を受け入れ

エルフの国の言語に近いのと

僕(妖精)が暮らすには

ピッタリな自然環境だったからだ

 

そのお陰で人の姿で生活が出来て

無事に今に至る

 

「ちびちゃん、荷造りは終わった?」

 

相変わらず呼び名はちびちゃんだけど(笑)

ドアを開けて顔を覗かせた大ちゃん

 

「終わったよ」

 

「まあ、忘れ物が有ったら

 蒼に取りに来させればいいけど(笑)」

 

最近の蒼ちゃんは多忙らしく

紅玉にいるのは週に2日くらい

知り合いからは

ツチノコ扱いされてると聞いた

代わって店に出てるのは

金髪碧眼の紳士

蒼ちゃんのお父さん

何故か若い女性に大人気らしい

 

蒼ちゃん曰く

 

『父さんの人気じゃなくて

 Freestyleの彼の作品を置いたからだ』

って笑ってた

 

彼の作品は

『てんとう虫』と『紅玉』でしか

手に入らないからだって

僕の宝物の中に

彼と一緒に作ったイニシャルチャームがある

みんなちゃんと持ってるかな?

鞄についてるチャームにそっと触れた

 

「蒼ちゃん、怒るよ(笑)」

 

「怒んないよ、呼ばれたらすぐ来る(笑)」

 

それは本当

呼ばれなくてもほぼ毎日顔を出してる

 

「確かに(笑)」

 

笑みを浮かべる大ちゃんだけど

やっぱりちょっと老けたかな?

8年近い歳月の勲章のような皺がある

改めて、この人は人なのだと

思い知らされた

 

 

僕が向こうに帰ったら ・・・

大ちゃん達は僕たちの前から消える

そんな気がするんだ

 

「大ちゃんは帰らないの?」

 

「日本に?」

 

「うん」

 

「そうだな ・・・ 

 今は考えてないけど

 いつか帰るよ」

 

「その時は会いに来てくれる?」

 

「紅玉に会いに行くよ」

 

そう言って目を伏せた

 

「さとちゃん そろそろ蒼ちゃんが来るよ」

 

「うん、準備は出来てる」

 

持ち物は鞄一つ

それ以外の物は向うに揃ってる

 

お兄ちゃんとは ・・・ 

連絡を取っていない ・・・

僕が大人になったら

必ず見つけてくれるって

約束したから

 

インターホンが鳴って

翔先生が玄関に向かう

 

「ちびちゃん ・・・ 

 この世界で生きていく術は

 ちゃんと身に付いてる

 怖がらないで顔を上げて

 思うがままに生きなさい」

 

「大ちゃん ・・・ 

 戻りたくなったら

 戻ってきてもいい?」

 

「いいよ

 いつでも戻っておいで」

 

「うん」

 

大ちゃんに思いっきり抱き付いて

 

「ありがとう」って伝えた

 

黙ったまま僕の背中を優しく叩いて

ギュッとしてくれる

その温もりを絶対に忘れないから

 

 

「チビ 用意できたか?」

 

8年経っても全く変わらない蒼ちゃんが

満面の笑みを浮かべて入ってきた

 

「出来てるよ」

 

「じゃあ、行こうか」

 

「うん」

 

「蒼、頼んだよ」

 

「任せて」

 

「さとちゃん、これを渡してって

 王子から頼まれた」

 

翔先生が鍵を渡してくれる

 

「鍵?」

 

「離宮の鍵らしい(笑)

 ちびちゃん専用の部屋は

 そのままにしておくって」

 

「王子らしいね」

 

「何時でも逢えるから

 見送りには来ないって」

 

「お忍びでしょっちゅう来るから

 言葉のままだぞ(笑)」

 

蒼ちゃんがクスクス笑う

 

「そんなに行ってるの?」

 

「ああ、今度は桜の季節だって言ってたから

 すぐに会えるな」

 

「あれは、あの二人の息抜き方法だよ

 蒼が紅玉に来るのと同じだな」

 

「そうですね

 大ちゃん達も春には来るでしょ?」

 

「うん ・・・ そうだな ・・・

 それくらいに休暇を取って」

 

大ちゃんが翔先生の顏を見る

 

「そうだね ・・・ 里帰りも兼ねてね」

 

二人が柔らかい笑みを浮かべた

本当に里帰りしてね

心の中で呟く

 

「チビが戻るから

 3人も来るぞ」

 

3人はエルフの国と妖精の国を行ったり来たり

偶にここにも来てくれた

 

「忙しいのに(笑)」

 

「集まりたいんだよ」

 

「大ちゃん、翔先生

 行ってきます」

 

「行っておいで」

 

翔先生とハグをして

蒼ちゃんの側に行く

 

「大ちゃん、翔先生

 また来るね」

 

蒼ちゃんも不安なんだと思う

大ちゃん達がいなくなるんじゃないかって

でも ・・・ 僕は信じてる ・・・

 

「お前の息抜きな(笑)」

 

「バレたか(笑)」

 

しんみりならないように

笑顔で送り出してくれる

 

「僕も来るからね」

 

「待ってるよ」

 

翔先生も笑顔 ・・・

 

 

 

 

 

 

さあ ・・・ 約束の場所に ・・・

 

 

 

 

 

僕を見つけて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>