Wish you were here  674 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

サンルームに入り込む柔らかい陽射しの中

3人で食べるランチは格別に美味しかった

画伯と彼もこの場所から外を眺めて

食事を楽しんだのだろう

そんな事を考えながら食後の珈琲を頂いた

 

画伯たちの事 ・・・ 多分ご両親は知っていると思う

言えない理由が何か?

そこに辿り着いて初めて話して貰えるのかもしれない

 

「母ちゃん ・・・ 家に絡繰り時計ってなかった?」

 

貴方が思い出したように訊ねる

 

「絡繰り時計 ・・・」

 

「うん、仕掛け時計とも言われてたかも」

 

「フクロウの時計の事?」

 

「それは絡繰り時計なの?」

 

「貴方も知ってるでしょ?」

 

聞き返されて

目をパチクリとさせる貴方

 

「フクロウって ・・・ 

 アトリエに掛かってる時計?」

 

「ええ ・・・ 最近ゼンマイを巻いてないから

 動いてないけど ・・・

 あれは仕掛け時計のはずよ」

 

「え~ ・・・ 鳴いたっけ?」

 

全く憶えていないのか

ポカンとした顔のまま固まった

 

「それは最近のですか?」

 

「確か昭和の初めの頃

 『肇おじさんの絡繰り時計』ね」

 

あっさりというお母さんの言葉に

思いっきり大きな声を上げる

 

「そうなの!」

 

「そんなに驚くことなの?」

 

今度はお母さんの方が驚いた顔をする

 

考えたらあり得る話

画伯が絵を贈った相手が肇さん

それなら、ここに肇おじさんの時計が有るのも当然

 

「師匠のお店が肇おじさんの家って知ってた?」

 

貴方がお母さんの顔をまじまじと見つめて訊ねる

 

「『妖精の時計屋』さん?」

 

妖精の時計屋さん?

初めて聞く名前だけど

 

「妖精の時計屋さんってお店なの?」

 

「確かそんな名前だったわよ

 師匠の家が肇さんの ・・・

 それは知らなかった

 お父さん何も言ってなかったわよ ・・・」

 

「二階に画伯の絵があるんだ ・・・」

 

「蒼の扉?」

 

お母さんは何処までご存じなのか

俺も読めなくなってきた ・・・

 

「うん ・・・ 」

 

「家の時計は此処で作られたのよ」

 

「それはどういう意味ですか?」

 

「まだお店を持っていない頃に作った物

 智祖父さんの宝物で

 それを受け継いだのが晴彦祖父さん

 お父さんもネジを巻いてたって ・・・

 肇さんの最初の作品だと聞いてるけど」

 

「この家で作ったの?」

 

「ええ、晴彦祖父ちゃんから聞いたって

 お父さんが言ってたから事実よ」

 

「ねえ、晴彦祖父ちゃんの兄弟は何人いたの?」

 

「兄弟はいなかったわよ」

 

それは知ってるけどって顔をして

 

「そうじゃなくて ・・・

 肇さんも画伯の子どもだったでしょ?」

 

「ああ ・・・ そう言う意味ね ・・・

 数人いたんじゃないかしら ・・・」

 

そこまで詳しく知らないのって顔で

頭を左右に振る

 

「父ちゃんは知ってるかも知れない?」

 

「どうかしらねぇ ・・・」

 

「智君、先に時計を見に行かない?」

 

肇おじさんの最初の時計 ・・・

この家で時を刻み続けた時計 ・・・

 

「そうですね ・・・

 母ちゃん見ても良い?」

 

「いいわよ ・・・ ネジはアトリエの棚にあったはず

 智、巻いてくれる?」

 

「うん、巻けばいいんだよね」

 

「ええ、教えてあげるから」

 

ネジを巻くのもコツがいる

祖母の家の絡繰り時計もそうだった

 

肇祖父ちゃんは紛れもなく画伯たちの子どもの一人で

仕掛け時計の出発点がこの家だった

 

 

それが分かっただけでも

奇跡のような気がしてきた

 

 

 

 

 

<続きます>