Wish you were here 632 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

祖母の父は櫻井悟

どんな人だったかは全く見えてこない

仕事熱心で寡黙な人だと言うことだけ 

画伯と関係があるのは間違いないけど

じゃあ、どうして櫻井姓なんだ?

そこがどうも腑に落ちない

それに ・・・ 画伯が愛した相手

あの絵の相手の正体は誰なんだろう?

考えても答えに辿り着けるはずもなく

思いっきり髪をクシャクシャっとして起き上がる

 

階段を降りてリビングに行くと

祖母が庭先で空を見上げていた

 

「おはよう、祖母ちゃん」

 

窓ガラスを開けて顔を出すと

振り向いて笑みを浮かべた

 

「おはよう ・・・ 早いのね」

 

「そう?いつもと変わらないよ」

 

最近早起きになった

朝のライン時間には

ベッドの上で正座して待ってる(笑)

それを逃すと昼休み迄ライン出来ない

貴方との時間は何を置いてもだから

そういう意味で、今の俺はかなりの優等生

 

「落ち着いて来たって事かしら(笑)」

 

祖母も『俺の若気の至り』を知っているから

くすくすと笑う

 

「そう見えますか?」

 

「ふふ ・・・ 誰かのおかげかしら(笑)」

多分  祖母にはバレてる気がする

 

 

「ええ、その通りです …」

 

名前は出さない

まだ貴方の許可を貰ってないし

話すときは二人で

 

祖母は慈愛の満ちた笑みを浮かべて

それ以上は触れないで

庭木の側に寄って行く

 

「随分春めいて来たわね ・・・

 沈丁花の香りに誘われて

 庭に出たの」

 

良い匂いって目を細めて

花に顔を寄せた

 

「春は沈丁花、秋は金木犀でしたよね」

 

風にのって漂う花の匂いで

季節を知ると言う

 

「ええ、その通りよ

 三大香木の二つね

 あと一つは何か知ってる?」

 

なんだっけ?

本で読んだ覚えはあるが

右眉を上げて記憶の書庫を探るが

中々出てこない

両手を上げて白旗のポーズをする

 

「忘れました」

 

「夏の梔子 ・・・ 

 白い花が咲くのよ

 梔子は花言葉が素敵なの」

 

クチナシと言うと

一昔前の流行歌を思い出す

 

「花言葉ですか?」

 

「ええ、西洋では

 男性が女性をダンスパーティーに誘う時

 渡す花なんですって

 それを受けた女性の気持ちね

 『私は幸せです』って花言葉

 『喜びを運ぶ』って花言葉もあるわね

 日本では『嫁の口なし』って言って

 庭に植えない家もあるけれど」

 

「だからあまり知らないのか」

 

「そうね ・・・ どれもいい香りなんだけど ・・・

 そう言われると考えちゃうわね」

 

「語呂合わせでしょ?」

 

「ええ、私の家の庭にもないわよ(笑)」

 

悟さんが考えて植えなかったのかな?

 

「子を思う親の気持ち?」

 

「いつの時代もそうよ」

 

悟さんの人柄が見えたような気がした 

 

「昨日の夜、智君に話したよ

 仕事が一段落したら

 お伺いしますって」

 

「そうね。春のjewelryですもの

 一段落してからね

   そうだ ・・・ 貴方の本

 春の出版だったわね」

 

祖母が思い出したように

嬉しそうに微笑む

 

「予定通りだとそうです」

 

今のところ遅れる要素はない

 

「『花笑み商店街』だから

 花の季節の出版

 編集者さんナイスじゃない」

 

「そこまで考えてるかなあ ・・・」

 

思いっきり首を傾げてみせる

熱意は有るがそこまで気が回るやつなのか?

甚だ怪しい(笑)

 

「出版のお祝いをしましょう

 その時、智ちゃんにも来てもらって

 ダメかしら?

 その方が智ちゃんも来やすいでしょ?」

 

祖母の気配りには敵わない

 

「俺のと言うと照れくさいけど

 皆で食事会と思えば待ち遠しいかな」

 

「楽しみに待っててくださいな

 貴方は智ちゃんの都合だけ聞いてね」

 

智君の都合は分かるけど

俺の都合は?

そこもばれてる?

 

祖母がクスクス笑って

俺の肩を優しく数回叩いた

 

 

「朝御飯よ」

母がキッチンから俺たちを呼んだ

 

〈続きます〉