取りあえず前を向こうか 56 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

夜が明ける前の静寂の中

蒼穹殿での儀式を済ませて

離れに戻り瞑想をする

これが朝の長の一連の仕事

蒼穹殿に祀られてるのは長

俺は常に一緒にいるようなものだから

屋敷を留守にしても関係ないような気もするけど

 

瞑想を終えて

手荷物を纏めていると

長がすっと姿を現わした

 

「智 ・・・ 準備は出来たか?」

 

知らない土地に向かう長

何故か数日前から心落ち着かない様子

長でも緊張するらしい

 

「ええ、大きな荷物は昨日の内に済ませて

 綾野君の車に積み込み済みです」

 

「そうか ・・・ それは大事な物だな」

 

「ええ、離れでは使わない物が入ってます」

 

「ああ、携帯っという代物だな」

 

「はい ・・・ ここを出たら

 翔様にも連絡が取れますよ」

 

「彼奴もソワソワしているだろう

 実は私もかなりソワソワしておる

 東の国には行った事がない故」

 

好奇心と不安が入り混じった様な表情を浮かべる

 

「知っていました(笑)」

 

「やはり気が付いていたか

 智には隠し事は出来ぬな(笑)」

 

「一緒にいるんですよ

 分かるに決まってるでしょう(笑)

 長ですら落ち着かないのなら

 翔様が落ち着かないのは当然だと

 昨日気が付きました」

 

「それはそうだ(笑)

 実はな ・・・ 何かが待ってるような気がして 」

 

腕組した右掌を顎に当てて

思案した表情を浮かべる

 

「何か ・・・ ですか?」

 

「ああ ・・・ おぼろげには見えるのだが

 はっきりわからない ・・・

 それが心をざわつかせて ・・・」

 

「あまりいい事ではない?」

 

「そうではないんだ ・・・

 それならば智も分るはず ・・・

 私の知らない何か ・・・」

 

「長、それなら楽しみましょう

 確かに俺の先読みでも

 暫くは何も起こらない

 長もそう読んだのなら答えは同じです」

 

「そうだな ・・・

 暫くは何も起こらない

 それに間違いはない」

 

「そろそろ綾野君が来ます

 夜が明けないうちに

 出発します

 長、勾玉の中にどうぞ」

 

「東の国に付くまで

 少し休ませて貰うよ」

 

「そうしてください」

 

長は笑みを浮かべたまま

ゆっくりと姿を消した

 

勾玉を入れる箱を鞄につめた後

廊下から綾野君の声が聴こえた

 

 

 

「長 ・・・ 入ってもよろしいでしょうか?」

 

「どうぞ」

 

いつものスーツ姿ではない

ラフな格好の綾野君

高級cafeのオーナーだった頃の

お洒落な出で立ちだ

 

「カフェのオーナーに戻ったな」

 

「ふふ ・・・ そうですね」

 

「長もあの頃の大野さんに戻られてます」

 

ここに来る時に持ってきた洋服

京都で一緒に買った物が多い

 

「小瀧は起きてる?」

 

「ええ、既に起きていますよ

 今日から数日はお世話係代理ですから」

 

「偉くなったもんだ(笑)」

 

「小瀧君は本当に頼りになります」

 

「こっちに来てから逞しくなった(笑)」

 

「聞いたら喜びますよ」

 

「言わない(笑)」

 

「長は小瀧君には厳しいですね」

 

「知らなかった?(笑)」

 

「知ってました(笑)

 それだけ気心が知れていると言うことです

 少し羨ましくも思えますが」

 

「剛君が俺の心の支え

 そこは間違えないで 

 彼奴は弟みたいなもの

 ちょっと危なっかしい所があるから」

 

「それが羨ましいです」

 

「剛君は俺にとってのお兄ちゃんだから」

 

綾野君の顔が一瞬で明るく変わる

それがなんか照れくさいけど嬉しい

 

「年下ですけど(笑)」

 

「あらら ・・・ 済まない

 じゃあ、兄ちゃんみたいな弟な

 頼りない兄ちゃんをよろしく」

 

「ふふ ・・・ 私の方が頼ってますよ

 こちらこそ宜しくお願いします

 そろそろ出掛けます

 準備はお済ですか?」

 

「ああ、準備万端整ってる」

 

「では、参りましょうか

 離れの入口で小瀧が待っています」

 

綾野君が廊下に続く襖を開けて

俺が外に出るの待っていてくれる

 

何年振りだ?

東京の土を踏むの

 

 

長じゃないけど

俺も少しソワソワして来た

 

 

 

父ちゃん、母ちゃん、逢いに行くよ

翔、待ってて!

 

 

 

 

 

<続きます>