キミノ夢を見ていたい(扉の向こうに有る未来)103 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

エルフの国での話し合いでは

具体的な解決方法には辿り着けなかった

当然と言えば当然のこと

本人たちの意志を確認していない以上

何が一番最善なのかの舵取りも難しいからだ

蒼ちゃんは大ちゃんの家に

俺達はジュンを伴って4人で紅玉に帰宅した

 

「今は明日の事だけ考えて

 ゆっくり休もう ・・・」

 

そう声を掛けるしかなかった 

3人も黙ったまま頷いてそれぞれの部屋に戻って行った

 

緋の妖精を元に戻す事ばかり考えて

その後の事を考えていなかった

部屋のベッドに寝転がっても

眠れそうにない

翔やさとしにも辛い思いをさせたくない

 

 

コンコン ・・・ コンコン

ドアを叩く音

こんな遅くに誰?

 

「緋~ちゃん、入っても良い?」

 

翔の少し沈んだ声が聴こえた

 

「はい ・・・ どうぞ」

 

再会の日を前にして

緊張して眠れないのか?

それにしては

嬉しいからかなり離れたところにいる顔をしてる

 

「漸く、明日会えるな」

 

態と明るい顔で笑みを浮かべた

 

「ええ ・・・ ようやくさとし君に逢えます

 それと ・・・ 俺が俺に戻る日でしょ?」

 

さとし君に逢えると言った時だけ

嬉しそうな笑みを浮かべたけど

その後は眉間にしわが寄ってる

妖精の核が自分の中に入ると思うと不安だろうな ・・・

 

「その表現は間違ってはいないけど

 すぐに妖精に戻る訳ではないと思う」

 

「どういう事?」

 

「俺もエルフに戻るのに時間が掛かった」

 

「そうなんだ ・・・ 今すぐにではないんだね」

 

少しだけホッとした顔をする

それはそうだ、彼には家族がいる

蒼の妖精のように

花から生まれたわけではないからだ

 

「両親、祖父母、親戚、友人の存在は大切だから」

 

それを全て切り離すなんてのは無理だ

俺だって出来ていない

 

「蒼の妖精 ・・・ さとしと生きる為なら

 全てを捨てる覚悟はできています

 緋の妖精が楽園を出たことから始まった捻じれ

 それを元に戻すのは、それしかないと思っていますから」

 

「翔は妖精になると?」

 

「そのつもりです ・・・

 緋~ちゃん、教えてくれない本当のことを?」

 

「本当のこと?」

 

「さとしくんは ・・・ 人になりたいと思っていない?

 俺の傍に居る為に ・・・

 そんな事したら ・・・ あの子は ・・・

 この世界で生きていけない ・・・

 遥か昔 ・・・ 緋の妖精がそうだったように ・・・

 蒼の花の核が粉々に ・・・」

 

泣きそうな顔をして

辛そうに呟いた

 

 

翔の言ってる事は

半分は合っているけど

半分は違う ・・・

 

蒼の森から生まれた二人は

楽園から離れることは出来ない

 

さとし君が人になりたいと願ったら

蒼の花の核は蒼の森に戻り眠りにつく

つまり ・・・ 核をなくしたさとしくんがどうなるのか ・・・

それが一番の問題なんだ ・・・

 

大ちゃんはさとし君の為なら ・・・

それでも ・・・ 限界があるのかもしれない ・・・

翔の力が必要なのかも ・・・

だけど、真実を話すのは ・・・ 

俺で良いんだろうか?

 

「さとしくんは まだ大人ではない ・・・

 今の感情でどうするかを決めるのは危険だと思ってる

 さっきの質問だけど ・・・ 俺にはよく分からない

 確かに、俺も君も人になった ・・・

 それはかなり長い年月を経てだ

 妖精が人になれるのか?

 その答えは大ちゃんが持ってる

 明日、5人の再会を見届けてから ・・・

 翔の気持ちを話したらどうだろう?」

 

「ええ ・・・ そのつもりです ・・・

 それと ・・・ もう一つ考えてる事が ・・・」

 

「もう一つ?」

 

「妖精のまま人の世界で暮らせるのなら ・・・

 あの子が大人になるまで

 会わない方が良いのかとも思っています」

 

旅をしながらずっと悩んでいた事(何となく気が付いてた)

今迄の親のような愛情で接するのは難しい

愛情の形が変わったからだ

 

「見守る自信がない?」

 

「ええ、大人になっていく彼を ・・・

 親のように見守る自信がない

 だけど ・・・ これから多感な時期です ・・・

 あの子が一人前の大人になるまで

 遠くから見守った方が ・・・

 あの子の為になる気がするんです

 離れている間にどう決断するのか

 緋~ちゃん、俺はさとし君が人になりたいと言ったら ・・・

 全力で止めます」

 

緋の妖精が辿った道を

朧げに思い出したのかも知れない

だから ・・・ それが重なって怖いのだ

切羽詰まった想いがひしひしと伝わってくる

 

「全ては再会を果たしてから

 始まりの5人が何かを伝えてくれるかもしれない

 あとは ・・・ みんなで知恵を出し合い

 一番いい方法を見つけよう

 俺達は ・・・ さとし君、そして翔 ・・・

 二人に幸せな未来を歩いて欲しいって願ってる

 一番そう思っているのは ・・・ 大ちゃんかな ・・・」

 

あの人は俺たちの親でもあるから ・・・

そうだ ・・・ 親なんだ ・・・

 

「大ちゃんが悩むのは ・・・

 俺たちの意思を尊重したいからですよね

 その上で何が出来るのかを考えてる ・・・」

 

「あの人は見守る神さまだった

 人の世界に干渉してはいけない

 だけど ・・・ 今回は二人とも楽園の住人

 それに当てはまらないと思うんだ」

 

核を持ったままこの世界で

ここなら楽園と変わらない

いつか大人になった時

大好きなお兄ちゃんと ・・・

ここで暮らすことは可能な気がする

 

「俺達はあの方の子どもだから ・・・

 緋~ちゃん、近いうちに大ちゃんに話します

 核を持ったままこの世界で暮らすと ・・・

 人として生を全うしても

 俺の中の核は楽園に戻る

 それなら、二度とさとしと離れることはない」

 

二人の想いが強ければ

その願いは叶うはず 

そうだ ・・・ 翔は俺の分身でもある ・・・

だったら、絶対に乗り越えられる

 

「強い想いが有れば

 願いは叶う ・・・」

 

お兄ちゃんの決断を

どう伝えるか ・・・

そこは大ちゃんに任せた方が良いのかも

蒼ちゃんはさとし君に寄り添ってくれる

さとし君がどう考え決断するか

全ては明日が済まないと ・・・

 

 

「翔の気持ちよく分った

 今は何も考えずに

 明日の再会の事だけを考えて

 ゆっくり休んで眠った方が良い」

 

話をする事で

少しだけ落ち着いたのか

はにかんだ様に笑って

 

「目の下にくまを作って

 さとし君に会えませんね

 あの子は心配性だから

 何も考えずに休みます

 話を聞いてくれてありがとう」

 

「遠慮しなくて良い

 いつでも聞くから」

 

「その時はお願いします

 じゃあ、おやすみなさい」

 

「おやすみ」

 

翔が部屋を出て行くのを確認して

蒼ちゃんに連絡をした 

 

 

 

 

 

 

<続きます>