取りあえず始めようか 29 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

いつの間にか目的がショッピングに変わってしまってた

止められなければ未だ大暴走中

貴方は常に俺の事を立ててくれるから

ついつい調子に乗って、自分の価値観を押し付けてしまう

反省したはずなのに ・・・

 

「何をしょげてんの?」

俺の手にそっと触れて、顔を覗き込む

 

「ごめん ・・・大暴走した」

面目ないって顔で俯くと

クスッて笑って

 

「さっきの事? ・・・ それも想定済み

 ベッドに関してはお前の言う事も最もだと思った

 長く使う物なら高くない買い物だって納得した

 それ以外の物については

 今すぐ、ここで決めなくていいって判断した

 お前には感謝してるんだ、勉強になるから」

 

「勉強になる?」

 

「うん、物の価値がよく分かる

 良い物を見極める目かな ・・・

 『安物買いの銭失い』って諺を思い出した 

 バカ高いものは買えないけど

 吟味して良い物を買えばいいって気付かされる」

 

貴方はそう言ってニッコリ笑う

やっぱり俺に激甘なんだから

 

「なんかね ・・・ 」

弱音を吐いても大丈夫だよね

 

「うん」

 

「淋しくなったんだ ・・・

 貴方がこっちに引っ越すことは現実なんだって

 突き付けられたような気がして ・・・ だから ・・・」

 

甘えてもいいよね?

 

「だから?」

 

貴方の声はどこまでも優しい

 

「俺もこっちに住む気持ちでいないと ・・・

 居たたまれなくて・・・

 だから俺が選んだ物でいっぱいにしたかった

 あの部屋は俺の居場所だって思いたくて ・・・

 また自分勝手でしょ ・・・」

 

貴方が繋いだ手をギュッと握り締めてくれる

 

「バカだな、お前の居場所って場所なの?

 違うだろ?俺の隣がお前の居場所じゃねぇの

 それはさぁ、住んでる場所じゃなくて

 心の距離だと思うけど ・・・ 

 まあ、カッコいいこと言ってるけど

 離れて泣くのは俺かもな(笑)

 だって淋しいのは同じだから」

 

照れくさそうに笑う顔が不安を溶かしてくれる

 

「始まる前からオタオタしてたらダメだね」

 

「ああ ・・・お前が揺れると ・・・

 どうしていいか分かんなくなる ・・・

 その都度その都度、二人で考えれば良い」

 

迷子になっても、貴方が探してくれる ・・・

一緒に悩んで考えて ・・・ 

それが一緒に生きるって事

淋しいのは同じ ・・・ 

なら淋しくないように考えれば良い

 

「毎朝、電話しても良い?」

 

「ふふ ・・・ じゃあ俺は毎晩寝る前に電話する」

 

「約束ね」

 

黙ったまま笑顔で頷いて

俺の小指に貴方の小指が触れてた

 

昨日からざらついてた心が

凪いだように静かになっていく

 

タクシーが目的地についてドアが開いた

運転手さんが遅咲きの桜が咲き始めていると教えてくれた

 

 

 

 

 

「綺麗だな」

そう言った貴方の顔の方が綺麗だけど

 

「綺麗ですね ・・・ 桜も貴方も ・・・

 この遅咲きの桜は背が低いんです」

 

「ふっ ・・・ ほんとだ、見上げなくても見れる」

 

目の前の桜の花びらをじっと見つめる眼差し

桜の花にまでヤキモチを妬きそうな気分 ・・・

俺の眼差しに気が付いたのか

 

「ふふ ・・・ 桜にまでヤキモチ妬くな」

そう言って可笑しそうに笑う

 

「だって、そんな愛しげな顔で見るから」

 

「もっと甘い眼差しで見てるつもりだけどな ・・・

 今年は2回桜見物に来れた ・・・

 来年も二人で見に来よう」

 

「ええ、来年も再来年も見に来ましょう

 ゆっくり見物してから、お昼ご飯にしましょう」

 

 

貴方が俺の手を繋いで歩き始める

それが嬉しくて

思わず笑みが零れた

 

きっと相当デレた顔してるはず(笑)

俺を笑顔にするのは貴方だけ

 

 

 

<続きます>