answer 30 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

隣に彼が座っているだけで鼓動が速くなる

この音が聞こえてたらどうしよう

そんな馬鹿げた事が心配になって

話したいことの半分も話すことが出来ない

斜め向かいに座った雅紀が

「頑張れ!」って顔で見つめて

テーブルの下で拳をギュッと握り締めて

大きく頷いてくれた ・・・ 隣の二宮は忍び笑い

 

彼の声が聞きたくて、何度となく質問をするけれど

返ってくる答えは素っ気ない

全く俺に興味がないのは歴然としてる

小さくため息をつけば

隣の准一が冷淡な笑みを浮かべる

 

彼はと言えば、やたら雅紀と准一の顔色ばかりを窺う

雅紀が言ってた通り、確実に勘違いしてる

それは鈍い俺でもわかる

 

一向に打ち解けれない俺に痺れを切らしたのか

「そろそろお開きにするか?」

准一が声を上げた

 

「そうだね、俺もそう思ってたんだ

 料理もなくなった事だし ・・・

 翔ちゃん、それで良い?」

 

待ってましたとばかりに

雅紀がそれに同調した

 

「僕に異論はないよ、お目当ての料理も食べられたし

 滅多に飲めないビールもご相伴にあずかりました

 翔さん、気を付けて行って来てください 

 当日はお見送りには行けませんので、あしからず」

 

ちゃっかりご馳走になって満足な二宮は

ニヤリと笑って一礼した

 

「ああ、帰国したらまた飲みに行こう」

 

「ええ、その時は是非貴方の奢りで」

 

「ニノ、たまにはご馳走してあげなよ」

 

「え?そんなの無理でしょう

 ここのお代いくらすると思ってんの?

 ねえ、大野さん」

 

何故か彼に同意を求める

 

「ええ、そうそう食事できる場所ではないです

 僕も、精々そばかうどん、奮発して珈琲ですね」

そう言って、苦笑いを浮かべた

 

社交辞令?どうしても確かめたくて

 

「本当ですか?珈琲ご馳走してくれますか?」

思わず彼の瞳を凝視した

 

戸惑った彼は、たじろぎながら

「珈琲でよければ ・・・ お酒は無理ですよ」

そう言って顔の前で手をヒラヒラさせた

 

その答えは俺の気持ちを高揚させて

 

「じゃあ、この後 ・・・ 珈琲飲みに行きませんか?」

思わず皆がいるのを忘れて

うっかり口を滑らせてしまった

 

「へ?この後ですか?」

 

困った顔で凝視する眼差し

それを察知したのか

 

「こらこら、もう帰るぞって話になってるんだろ

 何をミルクホールに誘ってるんだ」

 

准一が助け舟を出して

俺の耳を引っ張った

 

「痛いって ・・・ 」

 

雅紀が手を伸ばして手を払ってくれた

 

「岡田君、やり過ぎだよ ・・・

 翔ちゃん、今晩はこのまま帰った方が良い

 珈琲は別の日にしてね

 まだ出国まで日にちが有るでしょ」

 

誘うなら二人になってからだよ

何を慌ててる ・・・ 警戒されてしまう ・・・

 

「大野さん、今度一緒にお昼食べましょう

 僕は蕎麦でもうどんでも、あんパンでも何でも

 安い物なら大丈夫ですから」

 

二宮はチラリと雅紀を見て

態と挑発するように彼を誘う

 

「別に構わないけど ・・・ あまり空いてる日がない

 cafeのバイトもあるから」

 

准一が可笑しそうに笑って

 

「大野は忙しいよ

 絵に没頭すると周りが見えなくなるから

 俺も何度も断わられた」

 

大袈裟にがっくり肩を落とす仕草をする

 

「准一 ・・・ 今日はすこし意地悪だな ・・・

 誤解の無いように言っておくけど

 昼飯を断るのは、忙しいのが分かっていて誘うから

 別に他意はない」

 

心外だって顔で睨みつけた

 

「ふん、忙しくない日がないだろうが ・・・」

って、ブツブツと文句を言う

 

「翔ちゃん、岡田君に任せておくとお開きにならないよ

今日の岡田君悪酔いしてるみたいだから」

 

雅紀が呆れかえった顔で准一を睨みつけて

俺に同意を求める

 

悪酔いって、そんな飲んでないだろ ・・・

それにコイツ無茶苦茶酒が強いんだ

だから、俺を揶揄って楽しんでる

 

「准一は淋しいんだ ・・・ 

 翔君が海の向うに行っちゃうから

 素直じゃないでしょ ・・・ 許してあげて」

 

俺の顔を見てニッコリ笑うけど

その言葉が胸に突き刺さった

准一の皮肉より、准一を庇う彼の言葉の方が切ない

どうやっても埋まらない距離を表わしてるような気がして

 

「翔 ・・・ 冗談が過ぎた ・・・すまない」

准一が聴こえないくらい小さな声で呟いて

俺の背中をそっと叩いた

 

余程、辛そうな顔をしたんだろうか

雅紀と二宮も俺から視線を外した

 

「大野、悪い ・・・ ちょっと酔った ・・・

 ふざけすぎたな ・・・ 気分を害してたらすまない

 そうだ、翔が酔ってるから送ってあげてくれる

 すこし風に当たった方が良い

 ゆっくり歩いて帰ってやってくれ

 そうすれば屋敷につく頃には酔いが醒めるだろう」

 

「そうだね、それが良いよ

 帰る場所は一緒なんだから」

 

「大野さんは酔っていないようですから安心ですよ」

3人が掌を返したように俺の応援(笑)

 

「え?相葉君は一緒じゃないの?」

彼が訝しげな顔で訊ねる

 

「俺?俺はニノを送らないといけないから」

 

「僕もちょっと酔ってるから

 コイツに送らせます」

 

「じゃあ、准一は?」

 

「俺は ・・・ この後、野暮用があるからな」

 

「そうなんだ ・・・ わかりました

 翔君、僕と一緒に帰りましょう」

 

3人が安堵の笑みを浮かべた

 

「じゃあ、閉めの言葉をお願いします」

二宮が俺の顔を見て頷いた

 

「今日は俺の壮行会を開いてくれてありがとう

 帰国したら、再会の祝杯を挙げよう」

 

5人で握手を交わしてお開きとなった

 

会計を済ませて下に降りると、3人の姿は消えていて

彼が1人、空に浮かぶ月を眺めてた

その姿が凛として美しくて、ただ見惚れてた

 

俺の視線に気が付いたのか

彼の瞳が俺を捉えて

 

「帰りましょうか

 今日も月が綺麗です」

 

彼がニッコリ笑う

その笑顔が何故か切なくて

泣きそうになった

 

 

留学なんて行きたくない

彼の傍に居たい

彼の瞳に映っていたい

 

 

 

そんな事ばかり考えてた

 

 <続きます>