彼は誰時 69 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

大きく深呼吸してドアノブに手を掛ける

自分の部屋に入るのに変な緊張感 ・・・



翔君はあの島に3日間滞在して東京に帰った

一緒じゃないと帰らないって、最後まで抵抗したけど


そんなに会社を休ませられない

それに東京には一人で帰らないといけないって思ってた


「笑顔で『お帰りなさい』っていって欲しいから

 東京で待ってて」

って伝えたら、渋々納得して戻っていった


俺を受け入れてくれた島の人達に別れを告げるのに数日かかった


借りた家を片付けてたら

「片付けんでいい、疲れた時は帰っておいで

 みんなアンタが来るのを待っとるから」

って、婆ちゃんが言ってくれた ・・・


だからあの部屋はそのまま

俺達にとって大切な場所 



俺は翔君の絵だけ持って帰ってきた




インターホン鳴らすの気が引けて ・・・

ドアを開けて ・・・ 俯き加減の顔をゆっくりあげる


目の前に不安げな顔でカズが立ってた



「 ・・・・ ただいま ・・・」

って、カズの茶色い瞳を見つめる



「お帰りなさい」


俺の顔を見てホッとしたのか

見つめた瞳から涙が零れてて


「ごめん ・・・ いっぱい心配かけたね

 それから ・・・ 」


言い終わらないうちに、カズは俺に抱き付いて


「智の ・・・ バカ ・・・・ どれだけ心配したか分かってる

 でも ・・・ 良かった ・・・ もう帰って来ないかもしれないって

 ずっと不安で ・・・ 俺の事なんか忘れちゃったんだって ・・・

 櫻井さんから智が島にいるって連絡くれたけど ・・・

 声聞くまでは信用できなくて ・・・

 顔見るまでは安心できなくて ・・・」


って廻した腕に力を込めた

いつも、あまり感情を表に出さないカズが

ポロポロと涙を零して泣いてる



「忘れる訳ないじゃん ・・・ カズは俺の大切な弟 ・・・

 待っててくれて ・・・ ホントにありがとう ・・・」



ごめん ・・・ カズのそれ以上の想いは気が付かない振りをするね

俺は一生カズとは兄弟でいたい



「そうですよ、頼りない兄ちゃんだから

 俺が付いてないとね ・・・ 櫻井さんに言えない事はいつでもどうぞ」


そう言って、泪を拭った顔で嬉しそうに笑った



リビングに入るとあの日のまま

何一つ変わってない



「あの日のままだね ・・・」

って呟くと、呆れたように俺を見て


「違いますよ、いつ帰って来ても良いように

 毎日掃除してましたから ・・・ それでなきゃ埃だらけですよ」

って、可笑しそうに笑う



「だな ・・・ って事はここで生活してたってこと?」


カズのマンションの方が広いのに


「当然でしょ、俺のマンションは仕事場

 ここで智が帰って来るのを待ってましたから

 だから、少し物が増えてます 

 安心してください、智の物は何一つ捨ててませんから」



「別に捨てられて困るものはないからいいけど ・・・

 ふふふ ・・・ 淋しがり屋だからな ・・・」


そう言うと、心外だって言わんばかりの勢いで


「仕方ないでしょ ・・・ 突然消えた智が悪い

 それに、もう帰りますから自分のマンションに」


って、プイっと横を向く


「慌てて帰らなくてもよくない?

 ここに居ればいいじゃん、俺は構わないよ」



「いいんですか?そんな事言って櫻井さんが泣きますよ」

って、ニヤニヤした顔で意味深に笑う



「ば~か ・・・ 今まで通りでいいんだよ

 すぐに変えるつもりは無い ・・・ ゆっくりでいいんだ

 いつか二人で暮らせれば ・・・ 

 それに ・・・ なんでもない ・・・ 

 変な気を回さなくて良いから」


急激な変化は刺激的かもしれない

だけど持続しないのも事実

毎日体を重ねて、それに溺れて迷ってしまわないように


俺達の愛が不変だと ・・・ それが幻想ではないって

確信が持てたら ・・・ それからでも遅くないって思うから



やっと見つけた俺の光 ・・・

だから ・・・ 大切に大切に育てていくんだ二人で ・・・



「そうですね ・・・ まだ櫻井さんに持って行かれるのは癪に障る ・・


 でも、 俺はあの人に感謝してます

 智を ・・・ 昔の智に戻してくれたから

 俺の大好きな笑顔を取り戻してくれたのは櫻井さんだから ・・・


 いつか兄さんに昇格させてあげます

 今はまだ ・・・ 試用期間にしておきましょう」

って、悪戯っぽくウインクをする



翔君 大変だぞ ・・・ カズは厳しいから ・・・ 



ふふっ ・・・ でも認めてくれてるから

心配はいらないか ・・・

 




「仕事が終わったら、みんな来るそうです

 晩御飯の準備しますから、手伝ってくださいね

 


 ・・・・・ それから ・・・ まぁ君の事 ・・・」



って言いにくそうに俺の顔を見つめる



「相葉ちゃんの事は分かってる ・・・ ちゃんと話すから

 カズ ・・・ 俺は ・・・ 相葉ちゃんの事大切に想ってた」



「知ってます ・・・ 好きだったんでしょ ・・・

 ただ、俺を抜くことは出来なかった ・・・

 ちゃんと向き合ってあげて下さい

 そうでないと歩き出せないから」



「カズって ・・・ 俺の兄ちゃんみたいだな ・・・」



「俺を誰だと思ってるんです ・・・ ふふふ ・・・・



 ・・・ 智がいるからですよ ・・・

 おれたちを守ってくれる貴方がいてくれる ・・・

 俺はずっと智が好きだから ・・・ 

 貴方の事なら何でもわかります」



って、照れくさそうに笑う



「俺もカズが大好きだぞ」


そう言って抱きしめようとすると逃げるから

追いかけて掴まえて、ギュッと抱き付くと


可笑しそうに笑って


「もう ・・・ 冗談はやめて ・・・」

って、叫んでる




 ・・・ 今頃になって涙が出てきた ・・・



帰ってきたんだ ・・・ 俺の場所に ・・・

沢山の思いやりが詰まった場所 ・・・





愛すべき人達がいる場所に ・・・







<続きます>