Ray of hope 158 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

ゆらゆらと揺れる結界の壁
サトシは自分を隔絶させて、俺たちの声を遮断した
一人で成し遂げる為に…

雅紀が、俺の傍で

「櫻井さんがきた … 幻?」
って、小さい声で呟いた

櫻井さん?この国に来れるわけがない

「疲れてるの … 洒落にならない」
俺だって願ってた … だけど今は …

雅紀の顔を睨みつけると

「幻じゃない、後ろにミルナさんと一緒にたってる」

俺を見詰める眼差しは真剣で、大きく頷く
振り返ると、同時に

「二宮君、雅紀君、サトシはこの中に入って
どれくらい経ってる」

櫻井さんが不安げな顔で、俺たちの傍に駆け寄ってきた

雅紀は繋いだ手を解いて
凄く恐い顔をして

「思い出したの?
だから来たんだよね …
だったら何でもっと早く思い出さなかった
サトシがどんだけ … 辛かったかわかる
一年、どんな気持ちで … それでも笑って …
今朝だって笑って … 心の中で泣いて …」

ずっと、泣かないで隣にいてくれた雅紀が
泣きながら、櫻井さんの胸ぐらをつかんで揺さぶってる

「すまない … 俺が …」

櫻井さんの言葉を遮って
尚も続く雅紀の泣き声

「そもそも、ショーが …」

「雅紀、落ち着いてサトシに笑われるよ
『俺が選んだ道、誰も悪くない』って

俺もショーには言いたい事沢山ある
だけど櫻井さんはショーであってショーじゃない
この人は何も悪くないでしょ
だからサトシも待ち続けたんだ

櫻井さんが一番辛い思いをして、ここまで来てくれた
力になってもらおう」

櫻井さんが俺たちの希望

「行きなり失礼な事言って… すみません 」

雅紀が小さく呟く
ずっと止められなかった事
悔やんでた雅紀 … 仕方ないね

「昔、俺がしたことは最低だって思ってる
サトシの何を見てたんだろうって
ディルムッドには辛い思いをさせた
雅紀君、すまなかった…

今度は間違えない、信じて欲しい
サトシを失ったら … 生きていけない
命を掛けて迎えに行く」

そう言って、雅紀の両手を握りしめた
櫻井さんの泪が、その手の上にポトリと落ちて

雅紀が

「来てくれて … ありがとう」
って、泣きながら微笑んだ

サトシ聴こえる、櫻井さんが来たよ

「櫻井さん、サトシが玉座の間に入って
… 人の世界だと3日目に入る頃です
この力の使い方なら2、3日
人の世界だと一週間で、結界は完成すると思います」

「あの時は10日掛かってる …
このままじゃ壊れてしまう」
雅紀が心配そうに呟く

櫻井さんは、結界の壁に向かって話しかける

「サトシ 聴こえる?
俺を中に入れて、サトシの傍に行かせて

向こうの世界に住むサトシを愛する人から
沢山のパワーを預かってきたんだ

今もマザー達が力を送り続けてる
感じてるでしょ … だからこの結界を開けて」

壁に両手をつけて、静かに語り掛ける



俺たちは祈った、結界が開くことを…



ずっと名前を呼び続ける声



「サトシ … 開けろ …」



それでも、壁はゆらゆらと水面のように揺れて
開く事はなかった


櫻井さんは俺たちを見て
思い出したように話始める

「今は、聞こえていない
多分、トランス状態に入ってる
あの時もそうだった …
傍にいて抱き締めて、力を抑えさせて
休ませるの繰り返し

箍が外れて暴走してるから…」

辛そうに呟いて、壁を叩いて…



櫻井さんが来てもダメなの … サトシ



この空間に絶望だけが支配していく



じっと考えていた櫻井さんが
重苦しい空気を破って

「サトシが疲れて力が落ちた時がチャンスだと思う
その時なら、俺たちの言葉は届く
この指輪と玉座の石があれば…結界は開くはず
明日が勝負、サトシを連れ帰る

ミルナさんジュン君に伝えて下さい
今は交代で休んで明日に備えて欲しいと
チャンスは一度だけ

二人も交代で休んで
君たちに何かあったら、サトシは生きていけないよ
俺が信じられないなら、交代で俺の傍にいて」


サトシがこの人を愛した意味がわかる

最後まで諦めない強さ
サトシの全てを受け止めて
それに応える大きな愛

サトシを支えられる唯一の人
一緒に肩を並べて歩ける人




サトシと同じなんだ
この人がいるだけで安心する



ミルナさんは、櫻井さんの言葉を聞いて
大きく頷いて、階段を上がって行った


「カズ、カズから休んで
俺が傍にいるから」

雅紀が心配そうに俺の肩を抱いた

俺もそう思う、闇雲に叫び続けても届かない
チャンスを待つ


「ここで休むから、雅紀何かあったら起こして」

そう言うと、優しく微笑んで大きく頷いた



サトシ、早く櫻井さんが来たこと伝わると良いね


そう願いながら
俺は瞼を閉じた



〈続きます〉